自民・公明、日本維新の会 いわゆる高校無償化実現で3党合意

令和8年度から収入要件撤廃、私学加算額を45・7万円に
公立専門高校等支援拡充7年度から先行実施
令和7年度政府予算の成立を目指して、日本維新の会と修正協議を続けていた与党・自由民主党、公明党は高校無償化等の実現で合意し、2月25日に石破茂・自民党総裁(首相)、斉藤鉄夫・公明党代表、吉村洋文・日本維新の会代表(大阪府知事)が合意文書に署名した。合意事項は教育無償化、関連して教育無償化に関する論点等、そのほか現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減、働き控えの解消が盛り込まれている。
教育無償化に関しては、いわゆる高校無償化について今年6月にも取りまとめられる「骨太方針2025」の策定までに大枠を示した上で、令和8年度予算編成過程において成案を得て、実現すること、令和8年度からは収入要件を撤廃し、私立については加算額を、現行の36・9万円(年収590万円までの世帯が対象)から私立高校の授業料平均額45・7万円に引き上げる。低中所得層への高校生等奨学給付金の拡充や公立高校への支援の拡充を行う。
令和7年度からは全世帯を対象とする支援額(11万8800円)の支給について収入要件を事実上撤廃し、公立の専門高校の施設整備への支援拡充等を行う。
また、いわゆる給食無償化に関しては小学校を念頭に地方の実情等を踏まえ令和8年度に実現。中学校への拡大についてもできるだけ速やかに実現する。幼児教育・保育に関しても更なる負担軽減・支援の拡充を令和8年度から実施する。高等教育に関しては負担軽減・支援拡充について十分な検討を行い、成案を得ていく、としている。
高校無償化等を実現するために検討が必要な論点にも言及しており、義務教育との関係、公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保、多様な人材育成の実現、収入要件の撤廃を前提とした支援対象者の範囲の考え方、私立加算金額の考え方、支給方法の考え方(代理受領か直接支給か、DX化による効率化の推進)、高校間での単位互換、国と地方との関係、公立と私立との関係、現場レベルの負担といった論点を挙げている。こうした論点については、既に文科省の中央教育審議会で公私のあり方や両者の関係の検討の必要性を指摘する意見、文教関係の国会議員からは教育論からの高校無償化の検討の必要性を指摘する意見、私立中学高校の現場からも直接支給では授業料徴収に大きな混乱を招きかねないとする意見も出ており、今後、衆議院の文部科学委員会や参議院の文教科学委員会でも論点について活発な論議が行われそうだ。