スポーツ庁第6回地域スポーツクラブ活動WG

最終とりまとめ(素案)を審議

地域移行から「地域展開」に名称変更

スポーツ庁の地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議の第6回地域スポーツクラブ活動ワーキンググループ(主査=友添秀則・環太平洋大学体育学部教授)が3月12日、東京都中央区の会議室でオンラインも併用して開催された。同実行会議の最終とりまとめ(素案)が同庁から示された。同会議に設置されている文化庁の地域文化芸術活動ワーキンググループは3月18日に最終とりまとめ(素案)を審議する予定。

実行会議の素案は総論と各論(個別課題への対応等)で構成され、総論では、地域全体で支えて生徒の豊かな幅広い活動機会を保障することを目指す意図を込めて「地域移行」から「地域展開」と名称を変更することが明記された。運動が苦手な生徒、学校になじめない生徒、支援・配慮が必要な生徒も広く地域で活動できるよう留意が必要だとし、休日の部活動改革では次期改革期間内に原則として全ての部活動で地域展開を実現し、地域クラブ活動に展開することを目指し、できる限り前倒しの実現が望ましいとしている。平日の取り組みは、休日と比べて進捗が遅れており、地域の実情を見ながら次期改革期間に改革を進めていく方針。

国は改革推進期間を令和5年度から7年度と定めたが、「3年の期間では短い」、逆に「長すぎると迅速に改革が進まない」という意見もある。このような状況を踏まえ、次期改革期間(仮称「改革実行期間」)は前期3年間(令和8~10年度)と後期3年間(令和11~13年度)の計6年間の設定が考えられる、としており、次期改革期間の費用負担は企業版ふるさと納税などによる寄付の活用、民間企業との連携などの活用も重要と指摘。また、受益者負担の水準は国で金額の目安等を示すことを検討する必要があると記述している。

部活動指導員の配置には次期改革期間でも一定の範囲で支援する必要があると記載。

また、家庭の経済格差が生徒の体験格差につながらないよう、困窮世帯の生徒への支援の確実な措置が必要としている。

地方公共団体は、専門部署の設置や自治体と地域のスポーツ関係団体などとの橋渡し役を担う総括コーディネーターの配置などの適切な推進体制を整備していくことが重要と指摘。都道府県はリーダーシップを発揮し、対応に困難がある市区町村には必要に応じて支援を行い、複数の市区町村による広域連携を進めることも重要とし、学習指導要領の次期改訂では、地域クラブ活動の普及・定着を前提とした記載とする、などとしている。

各論では、個別課題への対応を示し、地域クラブ活動を担う運営団体・実施主体の体制整備及び適切な運営の確保、指導者の質の保障・量の確保、活動場所の確保、活動場所への移動手段の確保、大会やコンクールの運営の在り方、生徒・保護者等関係者の理解促進、生徒の安全確保のための体制整備、障害のある生徒の活動機会の確保について記述。指導者の確保には、教職員の兼職兼業が事実上の強制とならない配慮も必要とし、指導者には中学生世代の特徴を踏まえた指導のあり方や保護者対応などに関する研修の実施も求めている。

活動場所への移動手段の確保は、多様な分野と連携し、地域公共交通の利用料への補助、病院や商業施設などへの送迎との混乗、自治体の送迎事業の一括委託などもあり得るとしている。

こうした報告について委員に意見が求められ、「地域展開の方向性が示されたのは評価できる」「具体的、詳細なとりまとめになった」「今まで誰も取り組んでいない課題なので、自治体にとって有益。受益者負担の目安の早い公表を望む。ジュニアスポーツが向かうべき方向性への理解が重要である」などの意見が出され、最終とりまとめ素案は了承された。会議は今回で最終となり、素案は実行会議に諮られる。

最後に室伏広治スポーツ庁長官があいさつし、「少子化により全国の中学の部活動数は大幅に減少し、スポーツの持続可能性のための改革が求められている。地域間格差に対応するのは学校だけでは不可能で、地域全体で支える必要がある。誰もが楽しめるレクリエーション的なスポーツの取り組みが遅れているので対応したい。行政に情報を発信し、現行の学校部活動・地域クラブ活動の在り方のガイドラインの見直しも考えていきたい」と述べた。