部活動改革有識者会議 最終とりまとめ武部副大臣に提出

公立中学校等生徒が主対象

令和13年度までに休日の地域展開実現を目指す

学校施設等を有効活用

文部科学省の地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議(座長=小路明善・アサヒグループホールディングス株式会社会長)は、5月16日、第4回会議を文部科学省第二講堂でオンラインも併用して開催し、約9か月間に及ぶ審議内容をまとめた「最終とりまとめ案」を了承、小路座長から武部新・文部科学副大臣に手渡された。

最終とりまとめは、主に公立中学校等を念頭に置いた改革提言で、改革の主目的については、急激な少子化が進む中でも、将来にわたって生徒が継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保・充実することとしており、学校単位で部活動として行われてきたスポーツ・文化芸術活動を、地域全体で関係者が連携して支え、生徒の豊かで幅広い活動機会を保障することなどが改革の理念だとしている。

その上で地域クラブ活動においては、学校部活動が担ってきた教育的意義を継承・発展させつつ、新たな価値を創出することが重要としている。そのため国としては、地域クラブ活動の定義・要件や認定方法等を示した上で、地方公共団体において認定を行う仕組みを構築していくことが必要と提言している。

部活動の休日の地域展開については、令和5年度から「改革推進期間」がスタートし、国の実証事業等を通じて、既に休日の地域展開を進めている地方公共団体もある。

今後については、次期改革期間(前期:令和8~10年度、後期:令和11~13年度)内に、休日については原則、全ての学校部活動において地域展開の実現を目指すとしており、前期の間に確実に休日の地域展開等に着手すること、平日については各種課題を解決しつつ更なる改革を推進し、国において地方公共団体が実現可能な活動の在り方や課題への対応策の検証等を行い、地方公共団体においては地域の実情等に応じた取り組みを進めることを求めている。

また保護者等から不安の声が上がっている費用負担の在り方については、地方公共団体で受益者負担と公的負担とのバランス等を検討する必要があること、受益者負担の水準については国において金額の目安等を示すことを検討する必要性を指摘している。また学習指導要領の次期改訂において地域クラブ活動の普及・定着を前提とした記載としつつ、地域展開が困難な場合等に実施される学校部活動に関しても教職員等の負担軽減の視点から一定の記載を行うことが考えられると指摘。

このほか個別の課題のうち、指導者等の質・量の確保に関しては、多様な人材の発掘・マッチング・配置(人材バンクの設置・運用、大学生の活用促進、希望する教職員の兼職兼業等)等を、また活動場所の確保に関しては学校施設等の有効活用等を、さらに大会やコンクールの運営の在り方に関しては、生徒の大会等の参加機会の確保(地域クラブ活動の認定制度の導入に合わせた大会参加規程の見直し、行政・関係団体等による協議の場の設定等)等を提言している。

5月16日の会議では最終とりまとめを文科副大臣に提出した後、会議に出席した各委員が言い残したことを発言しており、その中では受益者負担額によってはスポーツができなくなる生徒も考えられるとして改めて公費による財政的支援を訴える意見等が聞かれた。

約9か月間に実行会議は4回開催、同会議の下に設置された地域スポーツクラブ活動ワーキンググループ(主査=友添秀則・環太平洋大学体育学部教授)と地域文化芸術活動ワーキンググループ(主査=北山敦康・NPO法人しずおか音楽文化支援協議会理事長)がそれぞれ6回会議を開き、昨年12月に中間とりまとめを公表、今回最終とりまとめを策定した。