一般財団法人日本私学教育研究所が第26回理事会開催

令和7年度事業計画等決定

10月に横浜市内で募集人数800名全国私学教育研究集会開催

一般財団法人日本私学教育研究所(吉田晋理事長、平方邦行所長)は3月12日、東京・市ヶ谷のグランドヒル市ヶ谷で第26回理事会を開催し、令和7年度事業計画案、同収支予算案の他、準用する「国家公務員等の旅費に関する法律」の改正を受け、役員等報酬規程及び職員旅費規程の改正案、第27回理事会(令和7年5月21日)及び第14回評議員会(令和7年6月17日)の開催について審議し、いずれも原案通り承認した。また令和6年度4月期から12月期までの収支報告が行われた。

この日決定した令和7年度事業計画では、人口減少・少子高齢化の更なる加速やグローバル化の進展、生成AIの発展に象徴される急速な技術革新など、想定を上回る速度で社会が変化する中、複雑・多様化する学校現場のニーズに対応するため、日私教研は中・長期的な視点に立ち、先進的な教育施策に資するための研究を推進するとともに、併せて緊急に解決が求められている教育課題について調査・分析を行い、それらの成果を研修会において的確な情報・指針として各学校に直接伝達することが重要な使命であるとした。

主たる事業のうち研修事業に関しては、前年度に引き続き、全国組織として実施すべき基幹的な研修会として、私立学校固有の問題で全国的なレベルで解決が必要とされる課題の研修に特化して実施、併せて時代のニーズに即した一般研修事業の在り方を検討し、研修会のリニューアルを進めていく。

更に一般研修事業で扱った研究課題を深化させ、全国に発信する全国研修事業を実施する。また国による抜本的な英語教育改革や大学入試における英語4技能の総合的な評価拡大への対応、英語教育担当教員の指導力強化を図るため、英語5技能教育に係る特別研修事業を西日本及び北日本の2エリアで実施する。

階層別研修事業である初任者研修及び若手教員・中堅教員研修事業については、体系的な整備を図っており、研修内容を研究事業とリンクさせた若手教員・中堅教員研修事業では、前年度に引き続き生成AI時代における私学教育のグランドデザインについてのプログラムを導入し、教育実践力向上を含めたキャリアアップを図る内容で実施する。こうした各種事業を後押しするため、広報活動全般を精査し、関係方面のみならず広く一般社会へより積極的な情報提供・発信を行い、21世紀型教育の実践はもとより、22世紀型教育を見据えた「私立学校のシンクタンク」を目指した取組を進める。

具体的には、主たる事業のうち研究事業に関しては、学校教育及び学校経営に資するための調査・研究事業を54名の応募者の中から選ばれた30名の委託研究員(私立中学校・高等学校教員)により年度当初に定めた研究題目に則り実施し、令和7年度末には委託研究員研究成果報告会(令和8年3月14日に大阪市、同3月21日に都内・私学会館)をオンライン配信併用で開催する。

また、私学教育及び私学経営に特化した調査・研究事業を特別招聘研究員(広石英記・東京電機大学副学長)が「私学教育のグランドデザインⅡ」という研究題目で実施する。令和6年度の同調査・研究事業の成果については、今年3月に『私学教育のグランドデザインⅠ』(調査資料第261号)として発行されている。

研修事業に関しては、一般研修会のうち、私学経営研修会は6月5日・6日の2日間、鳥取県鳥取市のホテルニューオータニ鳥取を会場として、「未来に向けた私学の決断~少子化時代の私学経営を考える~」を研究目標に開催する。初日は開会式に続いて「教育政策と私立学校」を演題に日本私立中学高等学校連合会の長塚篤夫常任理事(日私教研副理事長)による講演、「美しく豊かに暮らす。高い生産性を目指し地方から挑む。~バルコスの経営戦略~」を演題にさまざまなライフシーンを美しく豊かに演出する企業を目指して展開する株式会社バルコスの山本敬・代表取締役社長が基調講演を行う。

その後、「未来に向けた私学の決断~少子化時代の私学経営を考える~」をテーマに意見交換会及び3名のパネリストによるパネル・ディスカッションを行い、初日の最後に教育懇談会を実施。2日目は意見交換会後、鳥取城北高等学校または青翔開智中学高等学校の学校視察を行う。私学経営研修会の募集人数は120名。

また私立学校専門研修会としては、7月3日・4日に静岡県浜松市で「変革の時代における学びとは~教育DXと創造的な学び手の育成~」を研究目標に教育課程部会を開催する。研修プログラムは講演やワークショップ、研究討議、浜松学芸中学校・高等学校の学校視察。募集人数は120名。

また8月8日には東京・港区のビジョンセンター品川で法人管理事務運営部会を開催する。研究目標は「AI時代の学校におけるDX改革~新しい私学の教育と働き方~」で、基調講演や研究討議、講演等で私学における校務DXの拡充とこれからの働き方について考える。募集人数は60名。

次世代リーダー(経営後継者等)育成部会は11月27日・28日、兵庫県姫路市のホテル日航姫路及び姫路女学院中学高等学校で開催する。研究目標は「リーダーシップと経営~イノベーションを生み出し続ける組織とは~」。募集人数は50名。

イノベーション教育(グローバル・ICT活用)研究部会は12月11日・12日、東京都・中央区のAP東京八重洲を会場に、募集人数50名で開催予定。

令和7年度の全国私学教育研究集会は10月2日・3日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜アネックスホール、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、ビジョンセンター横浜(西口)で、募集人数800名規模で開催する。

研究目標は「生徒とともに未来を拓く私学教育~近代私学発祥の地から新たな発信~」で、私学経営、教育課程、法人管理事務運営、生徒指導、グローバル教育、ICT・AI教育の6部会が設けられる。初日は開会式に続いて、全体会として神奈川県私立学校活動紹介(横浜女学院中学高等学校チアリーデイング部、光明学園相模原高等学校和太鼓部)、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長と日私教研の平方所長が「教育政策と私学情勢について」をテーマにそれぞれ報告を行う。全体会の最後には、俳優で国際連合開発計画親善大使を27年間務めた紺野美沙子さんが「『星は見ている』~平和な世界を願って~」と題して記念講演する。

2日目は部会ごとに終日、講演・ワークショップ、パネル・ディスカッション、実践発表等が行われる。

さらに私立学校特別研修会としては、英語5技能教育特別部会を、西日本エリアを5月8日・9日に三重県四日市市の暁中学校・高等学校及び都ホテル四日市で、北日本エリアを10月23日・24日に北海道函館市の遺愛女子中学校・高等学校及びプレミアホテル―CABIN PRESIDENT―函館で実施する。募集人数は各50名。

また私立学校若手教員全国研修会/私立学校中堅教員研修会は西日本会場を9月19日・20日に愛知県名古屋市・プライムセントラルタワー名古屋駅前店で、南日本会場を11月21日・22日に福岡県福岡市・福岡ガーデンパレスで開催する。募集人数は各100名。若手教員と中堅教員で一部合同の研修プログラムが行われ、「私学人の矜持と使命」「私学の個性的教育のグランドデザイン」等の演題で講演・ワークショップが行われる。

私立学校初任者研修地区研修会は北海道から九州まで全国13地区で6月から8月にかけて2日間ないし3日間の日程で実施される。募集人数は合計1340名。このほか北海道、東北、中部の3地区で地区別研修会を募集人数合計950名で開催し、また21府県で府県別研修会を募集人数合計3870名で実施する。

令和7年度事業計画ではそのほか、教育情報の収集及び提供(教育情報のデータベース化、ホームページの運営)、諸外国との教育の交流及び情報交換、教育に関する図書及び印刷物の作成・頒布(紀要及び調査資料等の刊行、研修会報告書の刊行)、広報活動の展開、関係諸団体との連絡提携、諸会議の開催等を行うことにしている。