新たな評価の在り方WGが初会合

認証評価制度など見直し
対象を「学部・研究科等」に移行か
中央教育審議会大学分科会の質向上・質保証システム部会の下に4月24日に設置された「教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ」(以下「WG」と表記)の初会合が5月12日、文部科学省内でWEB会議システムも併用して開催された。冒頭、非公開で主査の選任等が行われ、主査に森朋子・桐蔭横浜大学学長が選ばれた。森氏は現在の第13期中教審大学分科会の臨時委員で、同システム部会の委員を務めている。WG委員は大学の研究者を中心に11人。またオブザーバーとして大学・短期大学・高専の機関別認証評価を行う5つの認証評価団体から5人が出席する。
初会合では公開後、同省から質保証及び情報公表等に関する現状が説明され、検討すべき論点が例示された。今回のWGの設置は、今年2月21日の中教審答申「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システムの再構築~」を受けて、大学分科会内に質向上・質保証システム部会(部会長=伊藤公平・慶應義塾塾長)が設けられ、急速な少子化(2021年の大学進学者数が62・7万人から2040年には46・0万人へと約20年で約27%減少する推計)の中で我が国の国力向上を図るためには一人一人が「知」を高め、国民全体の「知の総和」を向上させていくことが必須だとして、教育・研究の質の更なる高度化のための具体策の検討するもの。
同システム部会では、大学等の認証評価制度の見直し、情報公表の促進、学士・修士5年一貫教育の大幅拡充、通信教育課程の更なる質の向上のための制度改善、学生が主体的・自律的に学修するための環境構築(レイトスペシャリゼーションを促進するための定員管理制度の弾力化等)、出口における質保証等を審議するが、同WGは認証評価制度の見直しと情報公表の推進(多様な比較分析が可能となる情報の可視化)を中心に審議する。同WGでは具体的に各大学の学内での取り組み(内部質保証)に関しては、現在のシステムの充実を図りつつ、新たな第三者評価への連動・活用を通じて内部質保証の更なる実質化を図る。また第三者評価に関しては、現行の機関別評価から学部・研究科等に対象を移し、結果として教育の質を数段階で示し、定性的評価や、教育情報データベースを活用した定量的評価を行う。情報公表に関しては社会への説明責任を果たすため、大学自らの情報公表を充実させ、学修者や進学希望者が各大学の教育力を把握できるように各大学間の比較が可能となるような新たなデータプラットフォームの構築をイメージしている。大学分科会の「知の総和」答申では国公立版と私立版に分かれている大学ポートレートを設置者別ではないデータプラットフォーム「Univ―map(仮称)」構築の必要性を提言していた。こうした新たな評価制度への移行を通じて事務手続き等の負担軽減を実施する、としている。同WGの次回は5月下旬の開催。また夏頃を目途に議論の経過を同システム部会に報告する予定で、秋以降、具体的論点を引き続き議論することにしている。また専門学校も含めた議論を行っていく考えだ。WG初会合では、「学部・研究科等は合わせて8000、9000ある。その評価は現実味がない」「小さくても頑張っている大学が不利益を被らないように評価すべきだ」などといった意見が委員から出された。森主査は「(このWGは)規模の適正化とリンクしているという話ではない」と語っている。