東海大学の取り組み

望星丸で世界各地を巡る海外研修航海
文化理解・環境問題など実践的に学ぶ
東海大学(東京都渋谷区)は3月14日、「第54回海外研修航海帰港式」を挙行した。海外研修航海は、同大学が所有する海洋調査研修船「望星丸」(国際総トン数=2174トン)で世界各地を巡り、文化理解・環境問題・協調性の大切さなどを実践的に学ぶ独自の教育プログラムとなっている。帰港式当日は清水マリンビル(静岡県静岡市)を会場として、93人の研修学生をはじめ、研修団役員、乗組員、海洋学部航海工学科航海学専攻の練習学生を合わせた145人が参加した。
帰港式では、研修団の団長を務めた森下達哉教授(工学部)による団旗返還や、学生が作成したスライドショーの上映を実施した。学生長を務めた牧田遼樹さん(生物学部3年次生)によるあいさつの後、最後に学生全員で帽子を高く投げ上げ、帰港を祝した。
同大学の海外研修航海は、昭和43年から実施している。秋ごろに在学生全体から参加者を募集し、書類・面接選考を経て研修学生を決定している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による中断を挟み、令和5年度に5年ぶりの海外航路での研修を再開した。
令和6年度の海外研修航海は「Opportunity in Every Wave:変化を舵に君(あなた)の航海へ」をテーマとして、2月11日に静岡市の清水港を出港。父島(東京都小笠原村)、ポンペイ(ミクロネシア連邦)、コロール(パラオ共和国)に寄港し、各地のさまざまな文化に触れるフィールドワークなどを行ったほか、現地の大学生らとも交流した。
航海中の船上でも、スポーツ大会や洋上卒業式といった多彩なプログラムに取り組んだ。
帰港式で牧田さんは「お世話になった人々に胸を張って『大きく成長できた』と宣言できることを本当にうれしく思う。保護者や大学関係者のおかげで、素晴らしい仲間たちと共に清水港へと戻ることができた」と述べた。
式典後、団役員から修了証を手渡された学生たちからは「はじめは不安もあったが、仲間や先生、船員の皆さんのおかげで一生忘れられない思い出ができた」「海外に行くのは初めてだったが、各地で多くの人々と触れ合い、自分がこれまで国外に行くことのハードルを高く設定し過ぎていたことに気付いた。これからもさまざまな国々を巡りたい」「航海の終盤は仲間と離れる日が近づくさびしさを常に感じていた。かけがえのない友情を大切にしたい」といった感想が寄せられた。