中教審第148回教員養成部会開催

教職課程の在り方に関する論点や議論の整理提示

教職履修の負担軽減策など検討

中央教育審議会初等中等教育分科会の第148回教員養成部会が4月7日、文部科学省内でオンラインも併用して開かれた。この日は第13期中教審で初の教員養成部会となったため、冒頭に非公開で部会長、部会長代理の選任が行われ、部会長に秋田喜代美・学習院大学文学部教授が、部会長代理には貞広斎子・千葉大学副学長・教育学部教授が就任した。

議題は2月の第147回部会に続いて、昨年12月25日の中教審諮問「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について」の第1の検討事項「社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方」。

初めに前回の部会で文科省から示された「諮問を踏まえ議論が必要と考えられる事項」をその後の委員の意見等を盛り込み再整理した「諮問を踏まえ議論が必要と考えられる事項と基本的な考え方」案が同省から示され、説明された。

この文書は諮問の第1の検討事項に関して、(1)教職課程の在り方、(2)教員免許制度の在り方、(3)教師人材の安定的な確保に向けた教員養成の在り方に関する意見を整理したもので、教職課程の在り方に関しては▽養成・採用・研修を通じて生涯学び続ける教師としての能力形成という観点から、養成段階(特に大学、短期大学)で担保すべき能力はどのようなものか、▽専門的な内容を幅広く身に付ける必要がある中、より多くの学生が教職課程を履修しやすくするために、ICTの活用を含め、どのような工夫が考えられるか、▽教員免許制度の在り方に関しては、一人でも多くの学生に教職を志してもらうために、免許制度においてどのような課題があり、どのような改善が必要か、▽現行の2種・1種・専修という免許種別の在り方についてどう考えるか、▽教師人材の安定的な確保が求められている中で、地域に求められる教師人材の安定的な確保に向け、地域ニーズに対応したカリキュラムの構築や地域枠の活用等に関する大学と教育委員会の連携をどのように広げていくべきか、▽少子化の中、それぞれの地域で必要な教職課程を継続的に開設・実施できるようにするため、活用できる現行制度はあるが、更にどのような方策が考えられるかなどの論点が示され、関連する意見が記載されている。

このうち免許種別の在り方では、「教員免許状の標準を2種免許状相当とした上で、更なる質の保証、より高い専門性は教職大学院で確保するような仕組みが必要」、地域で必要な教職課程を開設・実施できるようにするための新たな方策に関しては、「教職課程の質を落とさずに教職課程を維持するため、地方の国立教員養成系大学が、近隣の他の大学等へ免許科目の提供ができるような制度設計、単位互換や連携教職課程といった仕組みを利用した国公私立大学間における連携が必要」といった意見が紹介されている。この「諮問を踏まえ議論が必要と考えられる事項と基本的な考え方」については、部会を重ねるごとにブラッシュアップしていく方針。

その後、部会では、東京学芸大学長・日本教育大学協会長を務める國分充氏が「現状を踏まえた教員免許と教職課程の今後の在り方」と題して、教職課程の単位数を必要最小限(現行の2種免相当、1種免許の60%程度)に絞り込み、履修負担を軽減し、広く多くの学生を教職課程に呼び込むことなどを提案。

全国私立大学教職課程協会長・玉川学園理事長の小原芳明氏は教員養成を国立大学だけでは量的に担いきれないことを指摘、私立の大学・短期大学が教職アライアンスを形成して様々な役割を果たせること、私立大学協会がプラットフォームになり加盟校で教職アライアンスを構築することもできること等を提案。

国立教育政策研究所初等中等教育研究部長の白水始氏が「学習科学から見た教職課程等の在り方に関する私的見解~学び続けるプロを育てる~」と題し発表を行った。

こうした発表後、部会の委員からは人権意識の低い教員が散見されることが指摘され教員の授業力以外の専門性についても考えていく必要性や、全国共通の教員採用試験の導入については賛成だが、医療系大学間共用試験のように20年、30年と時間をかけて検討し、事前・事後の手当ても必要なことなどが指摘された。