私大の在り方検討会議、議論終える

審議のまとめ案を基本的に了承
一部加筆修正後公表へ
文部科学省の「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」(座長=小路明善・アサヒグループホールディングス株式会社会長)は12月15日、同省内でオンラインも併用して第7回会議を開き、今年3月10日以降、視察や意見聴取等も交え、過去6回の検討会議で積み上げてきた「審議のまとめ」案について最終的な検討を行い、出席した委員により基本的に了承された。
この日は阿部守一委員(長野県知事、全国知事会会長)から強い要請等もあったため、この日の意見等を考慮して事務局(文科省)等が加筆修正した審議まとめ案を後日、全委員に送付し、更なる修正等があった場合、最終的な修文は小路座長等に一任することも了承された。(第7回会議で示された審議まとめの概要を2・3面に掲載=今後一部修正の可能性あり)
今回の「審議まとめ」案は、今年8月の中間まとめをベースに加筆修正したもの。
章立ては、はじめに、Ⅰ私立大学を取り巻く現状と役割の変遷、Ⅱ今後の私立大学振興の基本的な考え方(機能や成果に応じた国の支援の強化)、Ⅲ私立大学振興のための4つの施策の方向性の転換、Ⅳ「知の総和」の向上と高等教育の全体最適に向けた私立大学の在り方、おわりに―という構成。Ⅲの私大振興施策の方向性の転換では教育研究の質の向上に向けた重点支援への転換が、中間まとめ以降に追加されており、Ⅳも新規に加筆した部分。このうちⅢの4つの方向性のうち、1番目の「地域から必要とされる人材育成を担う地方大学の重点支援への転換では目指すべき姿として米国・イリノイ州のイリノイ・イノベーション・ネットワークの事例が追加され、また大学の入学者数の急減による撤退等で地域に必須のサービスを担う人材を育成する学部がなくなり人材輩出に課題が生じることは避ける必要があり、そのために地域構想推進プラットフォーム等で地域の実情に応じた取り組みが進められることが重要で、他の大学との適切な連携・役割分担等による地域の大学全体で形成する高等教育の姿を共有し、地域の高等教育資源の効率的・効果的活用のための重複感の解消や地域の高等教育機関の機能を最大化していくことが必要、との文言を追加。統廃合がまずありきではなく、共同による変革の必要性を強調した。
またⅢの4番目の教育研究の質の向上に向けた重点支援への転換に関しては、文理横断・文理融合教育を推進する観点からは学生が幅広く複数の学問領域を学ぶことを可能とするダブルメジャー等の有効性や、成長分野転換基金を大都市圏の大規模大学の理系転換に際しての課題にも対応した仕組みとすることや、理系への構造転換では初等中等教育段階と高等教育段階を一体的に設計し、一貫した改革を推進すること、大学院修了をスタンダードにしていくといった発想の転換、私立大学付属病院への支援の充実等を提言している。
こうした審議まとめ案に対して、阿部委員からは、そもそも大学が大都市に偏在し、教育の公平性が保たれていないこと、国は基本ビジョンを含め地方に丸投げせず積極的な関与が必要なこと、また高等教育の修学支援新制度では大学へのペナルティと学生へのペナルティを分けて考えて、大学生が大学へのペナルティの道連れにならないように改善を要望。そのほかの委員からは、審議まとめ本体と概要版(図表)の整合性をもう少し取ってほしいとの要望や、「地方鉄道を巡って大学と同じような問題が議論されている。地方分権もあるが、国はもっと踏み込んでほしい」「私学助成では圧縮率を見直して補助金の総量を増やしてほしい」「エッセンシャルワーカーの育成支援はありがたい」、さらに国立大学長の委員からは「地域のニーズに応える意識をもっと強く持たなくてはいけないと思った」などの意見が出された。
国公私立大学間や大学と産業界の連携の重要性を強調していることもあり、会議には国立大学協会の村田善則常務理事・事務局長、公立大学協会の浅井清文会長(名古屋市立大学長)、経済産業省経済産業政策局産業人材課の今里和之課長がオブザーバーとして会議を傍聴した。最後に文科省の小林万里子私学部長が「質の向上には私学助成のボリュームはまだまだ必要」などと語った。

