中教審第186回大学分科会開催

地域アクセス確保特例制度を了解
私大等の収容定員変更で弾力化措置
中央教育審議会の第186回大学分科会(分科会長=吉岡知哉・独立行政法人日本学生支援機構理事長)が11月13日、文部科学省内でWEB会議も併用して開催された。
この日の議題は以下の7点。(1)認証評価機関の認証=非公表、(2)地域における高等教育の機会の確保のための取り組みに関する制度改正についての諮問、(3)私立大学等の収容定員の適正化を図るための学則変更手続きの弾力化、(4)学部・研究科の連続性に配慮した教育課程編成の促進、(5)今後の科学技術人材政策の方向性に関する審議の「中間まとめ」、(6)初等中等教育における教育課程の基準等の在り方に関する「論点整理」、(7)その他(令和6年度全国学生調査〈第4回試行実施〉の結果、国立大学法人等改革基本方針〈概要〉)。
このうち(2)については、「地域アクセス確保特例制度」(大学設置基準等の一部改正及び地域高等教育機会確保特例認定制度等の認定に関する規定)に関する諮問について審議した。
出生数の低下から今後、大学進学者数の大幅な減少が見込まれる中、高等教育機関の再編・統合や縮小、撤退を市場経済の選択に委ねるのみでは、地域から学びの機会が縮減・消滅することになり、地域の人材需給のバランスが崩れ、地域生活や産業基盤に大きな影響を与える恐れ等があることから、地域の高等教育へのアクセス確保に資する取り組みを行うため、特に必要があると認められる場合に、他の大学と連携して行うことなどについて、文科大臣の認定を受けた大学については特例対象規定(基幹教員、授業科目の自ら開設、単位互換の60単位上限、遠隔授業の60単位上限等)の全部又は一部によらない取り組みを行うことができる、という改正案。
認定基準としては、自己点検評価・見直しの体制が十分整備されていること及び教育研究活動等の状況を積極的に公表していること、申請日前5年以内に、法令等に違反したことがある、財務状況が健全ではない、教育条件・管理運営が適正を欠く、といった欠格条項に該当しないこと等を定めており、取り組みに関しては、申請計画書の内容が大学等連携推進法人等を組織して行われること並びに協議会(地域アクセス確保等に関し必要な協議を行う場として告示で別途規定)等と連携して実施されると見込まれること、資格養成課程については、分野所管省庁等が特例適用の必要性を認めていることなどの要件を設けている。
専門職大学、短期大学、専門職短期大学の設置基準についても同様な改正を実施するとしている。
施行期日は令和8年1月1日の予定。
こうした改正案は今年9月から10月にかけてパブリックコメントにかけられ、14件の意見が寄せられ、「(特例の認定基準で財務状況が健全なことを求めているが、)財務状況に不安がある大学等にこそ必要」「大学、地方公共団体、産業界などが参加する協議会の設置は、単なる情報共有の場にとどまることなく、制度運用の中心的な役割を担うことで、地域の実情に即した教育が可能になるのではないか」などの意見があったこと、その意見に対して、同省では「地域関係者からの支援状況等特別の事情を個別に考慮することができることとする予定」「実効性ある組織とするため、届け出制度の創設により文科省においてプラットフォームの情報を的確に把握するとともに、協議会が国に対して協力要請することができる仕組みを整備する」などの考え方を示している。
こうした諮問に同分科会の山口祥義委員(佐賀県知事)からは、「大学等と地域との連携が形式的になってはいけない。両者がウイン・ウインとなることが必要。また設備や教員の共有は当然だが、学校間の学生同士の交流の視点が大切。企業と大学の交流もトップ層はもとより中堅層の交流が大事」との意見があり、その他「単なるフレームワークだけでなく中身を伴うものが必要」「質向上に繋がるかが大事」など意見が出された。最終的に同分科会出席委員全員が新制度を了解した。
また、(3)については、初めに文部科学省から私立大学等の収容定員の適正化を図るための学則変更手続きの弾力化(学校教育法施行令の一部改正=政令)案の内容や施行期日等が説明された。
この制度改正は今年7月の中教審の「知の総和答申」の提言を受けたもので、高等教育機関全体の規模の適正化の推進に向け、縮小への支援策として、一定の条件を満たす場合に一時的に減少させた定員を一部又は全部戻すことを容易にする仕組みの創設等、収容定員の引き下げに対する大学等の忌避感の緩和のための仕組みを構築する。
具体的には私立大学等が適正な収容定員への見直しを計画的に行うことができるよう、収容定員の総数の増加を伴う学則変更のうち、以下の3条件を満たすものについては、認可事項から届出事項に改める。
3条件とは、(1)当該収容定員の総数の減少を伴う学則変更後7年以内に行われるものであること(7年以内なら届出でOK)、(2)当該収容定員の増加後の総数は減少変更前の当該収容定員の総数を超えないものであること、(3)減少変更に係る届出と同時に、(1)及び(2)の条件を満たす増加変更に関する計画を有する旨を文科大臣に届けていること。(3)の届け出の方法や記載事項は文科省令で定める予定。
ただし文科大臣が定める分野(医師・歯科医師・薬剤師・獣医師・船舶職員の養成)の収容定員に係る学則の変更は、その総数の増加を伴わない場合を含めて、例外なく認可事項で、この政令案による改正後も同様の取り扱いとする。施行期日は令和8年4月1日。令和9年度から適用される学則の変更(減少変更)に係る届出及び当該と当該届出と同時に行う増加変更に関する計画を有する旨の届け出が可能となる。変更後の収容定員は、令和9年度の私学助成や高等教育の修学支援新制度の機関要件の確認の際、収容定員の充足率の算定基礎として用いられる。
大学分科会の委員からは、7年とした根拠を尋ねる意見が出されたが、文科省からは認証評価のサイクル(7年ごと)を一つの目安にしたとの回答があった。この政令改正案も承認された。この学校教育法施行令の一部を改正する政令案は11月14日から12月14日までパブリックコメントで意見募集をしている。
議題の(4)は、連続課程特例認定制度の創設を可能とする大学設置基準等の一部改正案の審議。大学院レベルの課程を見据えて、学士課程を構築することは学士課程そのものの質と密度を高めるものであり、大学院固有の教育方法である「研究指導」を受ける素地を養う観点から、学部段階から、複雑化した社会において課題を見出し、解決を図る訓練をしておくことは極めて重要との考え方等に基づくもの。修士課程において現行の修了要件を満たすことを前提に(4年+)1年以上2年未満の期間が修業年限として必要かつ十分なものであることを国として確認できる場合には、例外的に、大臣の認定により、修士課程の標準修業年限を1年以2年未満の期間とすることを可能とするもの。具体的には大学設置基準等に定める教育課程の編成方針において、学部における教育及び大学院の研究科における教育の連続性に配慮した教育課程(連続課程)を編成することを明記。いわゆる3方針について連続課程を編成する学部及び大学院を一つの単位として策定可能としている。
この改正案に対しては委員から数多くの意見が出され、「社会人が大学院に入る際にマイクロクレデンシャルを活用して短縮できるといい」「高校生の時代から大学院や研究がイメージできるといい」「日本の学位の価値が下がらないよう慎重に」「学部教育の質の向上が必須」「専門職大学及び専門職大学院も同等の扱いとあるが、専門職大学の特例では専門職大学院以外の接続も可能か」「かなり教員の負荷が大きくなる。質の高い教育をするためにはどのくらいの時間、教員、コストが必要か算出も進めてほしい」「マスター、ドクターがスタンダードになる第一歩になるといい」短期大学から学部、短大専攻科から大学院への編入にも広げて制度を構築してほしい」などの意見が出された。こうした質問に文科省が回答したが、専門職大学からの接続については、「要件を満たせば他の大学院も可能」と説明した。この改正案についてはパブリックコメントにかけ、改めて大学分科会で審議する予定。
このほか議題の(5)、(6)、(7)の関連資料の概要が文科省から報告された。
このうち次期学習指導要領を巡る審議の論点整理に関しては、「国際化に関する議論がほとんど見えない」といった意見も聞かれた。


