大学分科会第6回質向上・質保証システム部会

職業人材・技術者養成担う短大等の質保証聴き取り
大学通信制課程の取り組みも聴取
中央教育審議会大学分科会の質向上・質保証システム部会(部会長=伊藤公平・慶應義塾長)は11月18日、文部科学省でオンラインも併用して第6回部会を開催した。
この日の議題は、(1)専門的な職業人材・技術者の養成を担う高等教育機関の質向上・質保証について、(2)大学通信教育について、(3)学部・研究科の連続性に配慮した教育課程編成の促進についての3点。うち議題(1)の専門的な職業人材・技術者の養成を担う高等教育機関の質向上・質保証に関しては、4団体からヒアリングが行われ、委員との間で質疑応答が行われた。質保証の現状や課題等を発表したのは、専門職大学に関しては専門職大学コンソーシアムの北畑隆生会長、私立短期大学における専門的・技術的職業人材の育成に関しては、日本私立短期大学協会の麻生隆史会長、国立高等専門学校の質向上・質保証に関しては、独立行政法人国立高等専門学校機構の谷口功理事長、専修学校専門課程(専門学校)の現状と質保証・向上に関しては、全国専修学校各種学校総連合会の原田大五郎事務局長の4氏。このうち専門職大学に関しては長期の企業内実習などの特徴を説明した上で、認証評価に関しては制度発足からまだ浅く、認証評価機関が十分整備されていないため、第三者評価で補っているが、両者に大きな違いはないと説明、認証評価等に関しては受審に伴う業務負担や費用負担等が困難な点とした。
日短協の麻生会長は私立短大の質の保証・向上に関しては、設立時の設置認可審査、7年に1回の認証評価、各種国家資格・免許等認定養成機関としての受審のほか、短期大学間の総合評価の実施、県内の短期大学がアセスメントテストを共同で実施している、企業の採用担当者等を招聘したフォーラムの実施等を説明。評価を巡って困難な点については、学生の学修成果を見て、それを教育にフィードバックすることなどと説明した。
国立高専機構の谷口理事長は高専教育の特徴や高専という教育の在り方が海外で高い評価を受け、アフリカでは関心が高いことなどを説明。その上で高専教育の質保証に関してはモデルコアカリキュラムの存在を挙げ、授業全体の3分の2を占めており、残りの3分の1で各校が独自色を打ち出しており、国立高専教育国際標準認定制度(KIS)による質保証も行っていることなどを説明。困難な点に関しては、社会の変化のスピードが速く、何も持って教育の質を測るかが難しいなどと語った。また委員からは5年一貫教育の中途で進路変更を希望した学生への対応などを尋ねる質問があった。全専各連の原田事務局長は大学との制度的整合性を図る措置が講じられたことで専門学校の位置づけが高等教育機関で明確化したこと、質保証に関しては大学と同等の項目での自己点検評価の義務化、外部の識見を有する者による評価の努力義務化などの改革の動きを説明。令和8年度以降、全国の学校が制度改正の理念を理解して実態を伴う対応をしていく必要性を指摘した。評価を巡って困難な点に関しては、努力義務化となる第三者評価で評価疲れにならないようにすること、教員研修の充実の重要性を指摘した。
議題(2)に関しては、公益財団法人私立大学通信教育協会の高橋陽一理事長(武蔵野美術大学造形学部教授)が、「多様化する大学通信教育の質向上―教育支援と大学連携協力を中心に―」の演題で発表を行った。その中では大学通信教育の規模の拡大の歴史や学生のニーズに対応する多様な支援スタイル、放送大学と私大通信教育の連携協力等を説明。教員免許状がオンライン学習のみで取得可能、学生会活動による資格取得支援、130を超える教育機関と連携し、教職課程がない大学の学生に対しても科目等履修生等でダブルスクールを提供し、小学校教諭、特別支援学校教諭等の免許状取得を支援している通信制大学の事例等も紹介した。委員からは若年層の入学者が増えている中でシステムとしての通信制課程の質保証をどう考えているかとの質問があり、高橋理事長は出口としての質保証が大事だとした。また別の委員からは通信制と通学制では教育の方法論が異なる中で同一の学位を出すことを疑問視する意見も出された。
議題(3)では10月4日の第5回部会で説明、議論が行われた学部・研究科の連続性に配慮した教育課程編成の促進について、その後の大学分科会や大学院部会等で審議が行われた制度案が説明され、議論された。この特例制度は、大臣認定による修士課程の修業年限の短縮(学部4年+修士1年あるいは大臣認定による学部段階で大学院の先取り履修を行い、修士を1年間で修了するパターン)が考えられている。大学設置基準の一部改正はパブリックコメントを経て来年3月中に公布される予定。一部大学ではすでにこうした取り組みが行われているが、従来は学生個人の能力に着目して実施されるものだったが、今回は制度として新しく実施するもの。委員からは学部・修士の連携課程を学士課程が修了する段階で学生が中止した場合、学部卒の学位はどうなるかといった質問が出された。次回部会は12月23日開催の予定。


