山脇学園中学校・高等学校の取り組み

中学3年生がデータサイエンスを学ぶ「探究基礎」
コーセー・大妻女子大学データサイエンス学部と連携・協力し実践へ
山脇学園中学校・高等学校(東京都港区)は、中学3年生がデータサイエンスを学ぶ「探究基礎」の授業で、企業や大学との連携・協力によって生徒の学びを深め、課題を正しく分析し、論理的に解決へと導く力を育んでいる。
同授業では、今年度1学期に▽似たもの同士を見つけ出すクラスター分析▽グループ間の違いを比較する分散分析▽複雑なデータをシンプルにする主成分分析―について学び、Excelを使って分析した後、班でスライドを作成し、班員全員で発表した。2学期は1学期の学習内容を実践するフェーズと位置付け、企業との連携で体感する。3学期には実践の成果を発表する。
今回、同校と連携・協力するのは、㈱コーセー(東京都中央区)と大妻女子大学データサイエンス学部(東京都千代田区)。
同校と同社は2学期から、「YK(Yamawaki-KOS )カンセイラボプロジェクト」をスタートし、研究課題「感性とデータから、みんなにぴったりの化粧品をみつけよう」に取り組む。生徒たちは今後の授業で、ラベルを外したスキンケア商品を触り、それぞれの感性を頼りに感触を表現し、データ化していく。同じ商品を触った生徒同士でデータを集め、データ分析することで、生徒たちの好みの商品やその新しい魅力を見つけ出す。最終的には生徒たちが好きな商品や見いだした魅力を同社に提案する。
同社は3G(グローバル、ジェンダー、ジェネレーション)をキーワードに掲げ、性別や年齢にとらわれない新たな顧客づくりを推進している。ジェネレーションでは、思春期世代への日焼け止め講座などを通し、若い時期から生活に寄り添うべく取り組んでいる。
次のライフステージの進学や就職については、日本の理工系大学への進学割合が17%とOECD平均の27%よりも低く、さらに女性の割合は男性の4分の1という課題がある(文部科学省「理系学生の活躍促進に関するタスクフォースとりまとめ」〈2023年8月〉)。
同社では多くの女性研究者が活躍していることから、女性の理系就職のロールモデルの一つとして、化粧品研究の面白さを伝えることで、生徒たちに理系キャリアの選択肢を広げ、誰もが活躍できる社会への一助になれないかと考え、今回、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに認定され、理系教育に注力している同校と連携することとした。
同授業では、化粧品を楽しみながら、データサイエンスを学ぶとともに、化粧品会社のデータサイエンティストの仕事の一端を体感できるため、生徒たちが女性の理系キャリアの選択肢を広げることが期待されている。
7月16日には同校講堂で、2学期からの同授業の内容を中学3年生280人に説明するために「化粧品×データサイエンス講座」を実施。同授業を担当する同社研究所・先端技術研究室グループマネージャー兼データサイエンスグループ主任研究員の中村理恵氏は化粧品開発におけるデータサイエンスの応用事例の紹介や、授業で取り組む研究課題の提示を行った上で「データサイエンスは見えないことを見える化する科学。身の回りで起こることを数式で説明できれば、どのような未来も運命も変えられるかもしれない。まだ言葉にできていない『そうかもしれない』というアイデアをデータサイエンスで証明すれば世界は変わる」と話した。
また、横浜市立大学データサイエンス学部の立ち上げに関わり、米スタンフォード大学大学院が始めた活動「Women in Data Science(WiDS)」でデータサイエンス分野の人材育成・支援に尽力している大妻女子大学データサイエンス学部の小野陽子教授は、大量のデータから価値を創出するデータサイエンスは統計と情報の力が必要なものの、気付く力と伝える力が最も大事であり、求められていると説明。「統計やプログラミングというデータサイエンスのツールに振り回されずに、皆さんから楽しいプレゼンが出てくることを期待している」と述べた。
参加した生徒は「1学期には分析を楽しく勉強できた。2学期の実践も楽しみにしている」「有名な企業と連携し、データを扱うことは貴重な経験になると思う」「授業を通して、自分の悩みを解決できるような商品ができれば、うれしい」といった感想を述べた。
同授業を担当している同校情報科主任・サイエンス教育部の黒田雅幸先生は「生徒たちがこの授業での体験を通して、探究学習の学びをより深いものにすることを望んでいる」とコメントしている。

