日短協、秋季定期総会を開催

短大を巡る状況などを文科省担当部局が説明
私学助成配分 エッセンシャルワーカー育成で重点支援へ
日本私立短期大学協会(会長=麻生隆史・山口短期大学理事長・学長)は令和7年度秋季定期総会を11月26日、東京・市ヶ谷の私学会館で開催し、文部科学省説明、委員会報告、同協会の経営改善の検討、短期大学の振興に係る活動、中央教育審議会の審議状況報告等を行った。総会後は、大学・短期大学基準協会から報告が行われた。
開会挨拶で麻生会長は、「昨年の今ごろは修学支援新制度の対象から外れる短期大学が増えていたが、その後、要望等を通して、今年は地域に必要な人材を養成する短期大学は対象校となり、制度から外れる学校が少なくなった。短期大学はその地域に必要な人材を養成しており、なくてはならない高等教育機関だ」などと述べた。
来賓挨拶では文部科学省高等教育局私学部の小林万里子部長が、「今後、短期大学が我が国の高等教育の中で力を発揮していくために、社会変化や地域のニーズを踏まえた改革を進めるとともに、他の高等教育機関との連携を進めていくことが一層重要だ」などと述べた。
文部科学省説明は、『私立短期大学をめぐる諸情勢について』として、最初に「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会会議の審議の動向等について」と題して、私学行政課の三木忠一課長が次のような概要で話した。
令和8年度概算要求では、私立大学等経常費補助は物価上昇を踏まえた要求をしている。もう一つ、地域経済の担い手やエッセンシャルワーカーの養成など地域を支える人材を育成する部分について重点支援をする。
税制改正要望では、指定寄附金制度を見直し、企業等法人の寄附について、一定要件を満たす学校法人は、(1)私学事業団を経由せずに、受けた企業等からの寄附金を全額損金算入の対象とすること、(2)(1)に該当しない法人も、私学事業団を経由した受配者指定寄附金の手続きは、事前審査をすることで、配布時の審査を不要とすることを折衝中だ。
また、教育資金一括贈与の贈与税の非課税措置について3年延長を要望する。
学校法人が税額控除対象法人となるための実績判定に係る期間も、5年間から2年間に短縮する。
2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会の審議は、8月に中間まとめが行われた。提言は、私学助成を一律の配分から、○地域ニーズに応え、地域経済の担い手となる人材の輩出、○教師、保育士、看護師等のエッセンシャルワーカーの養成―等へのメリハリ・重点化である。
施策の方向性は、「自治体・産業界等との連携支援(地域経済の担い手やエッセンシャルワーカー育成支援等)」で、関係者による連携強化・プラットフォームの構築、人材育成に係る取り組みへの支援、地域経済の担い手等の育成等を行う地方中小規模大学への私学助成のメリハリ・重点化、将来構想に基づき教育研究・人材輩出等を行う私立大学に対する私学助成の一層の重点化といった提言がなされ、これを踏まえた概算要求となっている――などと三木課長は話した。
続いて「私立短期大学を巡る高等教育政策」と題して、大学振興課の石橋晶課長が次のような概要で話した。
方向性と具体的方策のなかで、縮小支援について、私立大学などの収容定員の適正化を図るための学則変更手続きを弾力化(案)し、一定の要件を満たす場合、一時的に減少させた定員を一部または全部戻す定員変更を、届出で可能にする。要件は、(1)定員数の減少を伴う学則変更(以下、減少変更)後7年以内に行われるもの、(2)定員増加後(戻す場合)は、減少変更前の定員数を超えないこと、(3)減少変更に係る届出と同時に(1)(2)の条件を満たす増加変更に関する計画を文部科学大臣に届け出ていること。施行は令和8年4月1日を目指している。地域アクセス確保特例制度の検討は最終段階に入っている。
新たな評価については、定性的評価(ピア・レビュー)が基本。内部質保証は機関別評価でとの意見が出ている。教育の質の評価は必要な学修成果が卒業時に達成できているかをメインに、成績等の直接評価と学生アンケート等の間接評価のミックスを検討している―などと石橋課長は話した。
総会では、委員会報告として、入試広報担当者研修会および教務担当者研修会の開催報告、令和6年度私立短期大学卒業生の卒業後の状況調査報告が行われたほか広報サイト「短大クエスチョン」の積極活用を要望した。
同協会の経営改善の検討では、学生募集停止校の増加による会員校の急激な減少が見込まれるため、現在、経常収支の改善策、各種事業の見直しなどの検討を進めているとした。
短期大学の振興活動については、短期大学振興議員連盟に、「私立短期大学の振興についての要望」を提出。内容は、(1)地域に必要な人材を育成し地域振興に貢献する取り組みへの財政支援等。(2)修学支援新制度の対象機関要件の撤廃等。(3)短期大学の認定専攻科以外の専攻科の大学院入学資格の付与等。
(3)については、同協会会員校にアンケート調査を行った結果、大学院入学資格が付与されるなら専攻科の設置を検討するとの回答が未設置校の約半数を占めたとして、同協会では今後、制度改正を強く要望していくとしている。
中央教育審議会の審議状況の報告では、大学分科会で、地域アクセス確保特例制度や、一時的に減少させた定員を一部または全部戻すことを容易にする仕組みの創設、学士課程と修士課程の一体的編成等が示されたとした。
また、令和6年度全国学生調査結果では、短期大学の学びに対する肯定的な回答の割合が高かったなどと報告した。
教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ(以下、WG)では、同協会常任理事の二木寛夫・山口芸術短期大学理事長が「認証評価制度について」意見を述べ、質向上・質保証システム部会では「私立短期大学における専門的技術的職業人材の育成」について麻生会長が意見を述べたとした。
このほか初等中等教育分科会教員養成部会の教職課程・免許・大学院課程WGに幼児教育作業部会が設置されたとの報告があった。
総会後は、大学・短期大学基準協会(原田博史理事長)から、新たな評価の在り方WGに、日本高等教育評価機構・大学基準協会・大学・短期大学基準協会の連名で、提言を出したとした。内容は、(1)各評価機関の自律性の尊重、(2)機関別評価の維持・発展、(3)一律な評価ではなく、大学の特性と強みを的確にとらえ、大学自らが改善・向上する機能強化を促す、(4)評価は評価機関と受審大学のコミュニケーションを基盤とする、など。また同WGに大学・短期大学基準協会として、論点整理に対する意見を出したなどと報告した。
閉会後、同会館にて情報交換会が行われ、麻生会長より主催者挨拶に続き、文部科学省の矢野和彦文部科学審議官からの来賓挨拶後、日本私立学校振興・共済事業団の福原紀彦理事長より乾杯の発声があった。
その後、松本洋平文部科学大臣より私立短期大学への力強い応援の言葉があり、短期大学振興議員連盟会長の中曽根弘文参議院議員、事務局長の田野瀬太道衆議院議員、事務局次長の自見はなこ参議院議員、佐々木紀衆議院議員、森下千里衆議院議員からも挨拶があり、多くの関係者と会員校との活発な意見交換が行われた

