私大団体連 私大振興協議会(拡大)を開催

議員から学部の理系転換促す意見

私立大学改革の動きや成果など説明

日本私立大学団体連合会(会長=田中愛治・日本私立大学連盟会長、早稲田大学総長)は11月19日、都内のホテルで「私立大学の振興に関する協議会(拡大)」を開催した。同協議会は平成29年3月に歴代の文部科学大臣、副大臣、大臣政務官、自由民主党の文部科学部会長と私大団体連の役員等をメンバーに、私立大学への理解と支援を広げることを目的に設置した組織。

今回は従来の協議会メンバーに加え、自民党の文教関係調査会の国会議員等も招き拡大開催したもので、現職の松本洋平・文部科学大臣も含め29人の衆参両院議員が出席した。私大側からは田中会長、伊藤公平副会長(慶應義塾長)、小原芳明副会長(日本私立大学協会会長、玉川大学理事長・学園長)、福井一光副会長(鎌倉女子大学理事長・学長)など計7人が出席した。

初めに主催者を代表して田中会長が、続いて議員を代表して遠藤利明・衆議院議員が挨拶を行い、その後、松本文科大臣が挨拶に立ち、「大学生の約8割、理工農系分野の6割以上の学生が通う私立大学はわが国の高等教育人材をうみ出す礎となっている。高市政権では日本成長戦略本部を設置し、未来成長分野に挑戦する人材を育成するための大学改革、高専等の職業教育の充実を検討課題の一つに挙げている。目下、私の下にタスクフォースを設け、集中審議をしていて、真に子供や学生達、大学のための施策をまとめていきたい」などと語り、出席の議員に経済対策や来年度予算編成での支援を要請した。

また深澤陽一・自民党文部科学部会長が挨拶し、成長分野への(学部等)転換基金や科研費等の獲得に取り組んでいく決意を明らかにした。

その後、田中会長が私立大学ではデータサイエンスの全学展開やダブルメジャーなど高度な文理横断教育が行われていること、こうした先行事例※を横展開して、高度専門人材の育成を推進するため、文理横断教育への拡充支援が必要なこと、

※先行事例=早稲田大学でのデータサイエンスの全学展開、国際基督教大学でのダブルメジャー、上智大学でのデータサイエンスの全学必修化、明治大学での数理科学を軸とした文理融合教育等。

また大学発ベンチャー創出数トップ10のうち4大学は私立大学であり、補助金10億円当たりの創出数順位を見ると、東京理科大学が1位、慶應義塾大学が2位、立命館大学が3位、早稲田大学が4位、京都大学が5位、東京大学が8位といった順で、私大の奮闘ぶりが目立っていると説明。

「世界大学ランキング」のトップ6%(1904校)のうち日本の大学は119校で、そのうち国立大学は58校、公立大学が11校、私立大学が50校との割合で、私大の実績が高いことはあまり知られていないこと、昭和50年に成立した私立学校振興助成法の附帯決議で、私立大学の経常的経費に対する補助割合を「速やかに2分の1とする」とされたものの、29・5%をピークに減り続け、令和5年度には8・5%となっていること、学生1人当たりの施設設備関連の補助金額には私立大学と国立大学で22・7倍(国立約20万円、私立約9千円)の格差が生じていることを説明。国・公・私の設置者別ではなく、機能別に見ての支援を要請した。

また小原副会長は地方の私立大学は地域のインフラに必要な人材(教員、保育士、警察官、薬剤師、看護師等)を育成しているが、地方の私大の声は小さく(中央に)届きにくいこと、そのため私大協会の秋季総会では、私立大学に重きをおく高等教育政策の確立・推進(パラダイムシフト)等を求める決議を採択したことなどを説明、地域の中核的な知の拠点を担う地方私立大学の振興等を出席議員等に要請した。

その後、出席の議員と私大関係者との意見交換が行われ、渡海紀三朗衆議院議員からは、政府の進める成長分野(理系等)への転換については、加盟大学に十分に趣旨を徹底して進めてほしいこと、予算獲得は厳しい状況にあることなどを説明。

また丹羽秀樹・衆議院議員は「理系人材が求められている中で、社会も私大に寄附しやすい制度にして私大が理系転換しやすいようにする必要性がある」と指摘。松野博一・衆議院議員は「理系転換が最終的に完成するかどうかは、企業が理系人材を厚遇して採用するかにかかっている。就学人口の減少が見込まれている中で大学側も統廃合から目をそらさず進めてほしい」などと語った。

永岡桂子・衆議院議員は、「今多くの受験生が進学を望んでいる東京の有名大学も(学部転換)を頑張ってほしい」などと語った。

柴山昌彦・衆議院議員は「課題は共有できるが、改革のスピードが問題、そのためにはインセンティブが働くことが必要。理系への進学は中高校段階から促していくことが大事」などと語った。

その他の議員も含め多くの議員から理系学部への進学者の増加や私大の学部の理系転換の必要性を訴える意見が続いた。

そうした中で「やはり文系への進学者が多い要因は何か」と尋ねる質問や理系転換が目指す目標値(全体に占める割合)を確認する意見等も聞かれた。そのほか生成AIの大学の授業での活用を尋ねる意見も聞かれた。

田中会長は理系人材を増やすためには、大学入試を大きく変える必要があるとし、現在の大学入学共通テストを全ての私大が使うべきで、高校1年、2年から数学や物理等を捨ててしまうことには問題があるとの認識を示した。

また遠藤議員は最後に社会に十分に伝わっていない私立大学の存在感について積極的に伝えていく必要性を強調した。