特異な才能ある生徒等に向けて

特別な教育課程検討WGが初会合
文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会・教育課程部会は9月26日に第1回特定分野に特異な才能のある児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ(以下、WGと表記)を、文科省内でウェブを併用して開催した。主査には隅田学・愛媛大学学長特別補佐が就任した。WGは、教育課程企画特別部会での基本的な方向性の議論を踏まえ、各学校段階、各教科・科目等の改訂の方向性を専門的に検討するために設置されている。
初めに文科省から特定分野に特異な才能のある児童生徒の特別の教育課程に関する現状とWGでの検討事項について説明があった。
現在、特異な才能のある児童生徒を対象とした特別課程の制度は存在せず、相談支援体制も未確立という状況。令和4年に出された「特定分野に特異の才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」の審議まとめでは、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環として支援策を考え、学習上・生活上の困難に着目し、その解消を図りながら個性や才能を伸ばすという基本的な考え方が示されており、9月25日に公表された教育課程企画特別部会の「論点整理」では、柔軟な教育課程の促進が検討され、特定分野に特異な才能のある児童生徒への教育課程の新設が提案されている。
同WGでは、有識者会議の考え方を踏まえつつ、実現可能で持続可能性のある仕組みを創設することを最優先させ、運用後に随時仕組みを改善していく方針。教育課程企画特別部会の論点整理での提起を踏まえ、特別の教育課程は何を対象とし、対象となる教育活動の授業時数の取り扱いをどうするか、特別な教育課程の実施場所にはどのような場所が考えられるか、対象となる児童生徒を判断する方法、判断する体制や過程をどうするのかなどを検討する。
次に隅田主査から特異な才能のある児童生徒のための教育の国際的動向、同WGの検討への提案などの発表があった。
特異な才能のある児童生徒の教育の潮流には、特定の子供たちを識別し、教育対象とする「ギフテッド児パラダイム」、才能を育成するために多様な学習経験や深い学習機会を提供する「タレント伸長パラダイム」、多様性を重視し、通常の教育を学習者のニーズに応じて調整する「ディファレンシエーション(柔軟化)パラダイム」の3つのパラダイムがあり、隅田主査は「3つのパラダイムは連続しており、断片的情報や個別の経験からではなく、包括的に議論することが重要」と語った。
特異な才能のある児童生徒を包摂した授業の柔軟化の重要性を強調し、隅田主査らの研究チームは、支援者の担当教員、教員連携、外部専門家と支援場所の教室内、学校内、学校外を組み合わせた9類型の教育支援を設定し、実践を進めていると説明した。
そして同WGでは児童生徒の才能の伸長と、困難に着目した支援の両側面を重視して検討を進めることが重要だと説明した。また、子供一人一人に特別な教育課程で対応すると考えるのではなく、(1)通常の教育課程での工夫、(2)教育課程の柔軟化、(3)専門家に委ねるような特別の教育課程の編成、という複層的な手立てとすみ分けを考えながら進める必要があると指摘した。
WG委員に審議の進め方や会議への期待などに意見が求められ、委員からは「困っていると相談にくる家庭の半数は、不登校がある。働き方改革の流れがあり、先生もどのように支援をしたらいいのか困っている。支援を求める家庭、支援を断る学校という二項対立ではなく、両者の落とし所を探り、次期学習指導要領の改訂が、その羅針盤となればよいと思う」、「学びの多様化学校での経験から、特異な才能のある子供の大部分は、柔軟な教育課程の編成により、通常の教育課程でかなりの包摂が可能だと思う。その上で困難を抱える子供には特別な教育課程で対応するのがよいのではないか。どの子供を対象とするか、誰が判断するのか、費用はどうするかなどは、いかに学校の負担をかけないで実施するかの検討が必要」、「特異な才能だけでなく、認知発達特性も考慮する必要がある」などの意見が出された。


