中教審154回教員養成部会

多様な専門性を有する質の高い教職員集団形成を加速する方策

論点整理案を提示、議論

中央教育審議会初等中等教育分科会の第154回教員養成部会(部会長=秋田喜代美・学習院大学文学部教授)が9月1日、文部科学省でオンラインも併用して開催された。この日は昨年12月の文科大臣の諮問を受けて審議を続けてきた「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策」に関して論点整理案が文科省から提示され、委員による検討が行われた。

論点整理案は全体で25ページ。諮問で具体的審議を求められた、(1)社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方、(2)教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方、(3)多様な専門性や背景を有する社会人等が教職に参入しやすくなるような制度の在り方―の3点を柱に、これまでに委員等から出された意見等を整理している。

このうち(1)に関しては、教師の質向上と量的確保の両立を目指す必要があり、教師の育成は大学全体の学びの中でなされるべきで、学生が自らの強みや専門性を高めることのできる柔軟なカリキュラムとすること、教職課程で修得すべき内容(服務倫理、心理・福祉、いじめ対応等)やデジタルも活用した学び、学修の成果確認等の教員免許状取得に至る総合的な学びの在り方の検討、学習指導要領の改訂の議論との連携を深めながら教職課程における学びについて検討を求めており、教員養成における大学院段階の学びにおいて、教育臨床研究をどのように位置づけていくべきかの検討の必要性等を主な論点と議論の方向性としている。

(2)に関しては、他職種と同じ市場で人材獲得競争をしているという現実を前提に、採用広報を教育委員会だけに委ねることには限界があり、国と地方が一体となった広報戦略が必要で、教員採用選考の第1次試験の共同実施は様々なメリットが考えられることから、引き続き具体策を検討すること、現職教師等が学びたいときに学べるよう経済的負担軽減等の環境整備、一時的な不在をカバーできるような人材の採用(日本版サプライティーチャー)についての検討も求めており、教師になった者への学部段階の奨学金返還免除については効果の分析等を主な論点と議論の方向性としている。(3)に関しては大学院段階の教職課程の在り方について、多様な学部出身者や社会人経験者が新しいプログラムを履修することによって、標準的なレベルの免許状を取得できる仕組み、教員資格認定試験について、様々な専門性を持つ人が教師としての資質を身につけていけるような試験の在り方、社会人の教師入職を進めていく際には、服務倫理、教職への理解を、入職前後の学習プログラムで担保する必要性等を主な論点と議論の方向性としている。

こうした論点整理案について委員からは、「社会の変化を予測することは難しい。常に学び続けることが重要だ。そのため時間や人的な保障等を考えるべきだ」「教育学部や教育大学で学ぶ意義とは何かに触れられていない。(そうした場で学ぶ)インセンティブを議論してほしい」「すべてを養成段階に入れることは限界。養成課程ですべきことと、教員の段階で研修すべきことを分けるべきだ」「幼児教育では多様な専門性を有するだけでなく、豊かな人間性がどうしても必要」「特別免許状認定プログラムを設け、教員になれる間口を広げていくべきだ」「(新しい教員養成は)次期学習指導要領の具現化でなくてはいけない」「日本版サプライティーチャーは重要な一歩。しかし退職教員の活用では児童生徒との間に文化的ギャップが生じやすい。非常勤講師等を採用すべきだ」「今一番困っていることは教師不足(解消)。教員を増やすために早目にやって頂かないと地方に行けば行くほど大変な状況だ。良い先生の確保には給与の引き上げが必要。給特法改正でも追いつかない」などの意見が出された。

秋田部会長は、一般大学での教員養成(開放制)と教員養成系大学における教員養成、それぞれの良さについて議論する必要性や、短期的、中長期的に分けて論点を提示する意見なども参考に論点整理案を修正し、次回部会で議論を重ねたいと語った。同部会は今後更に議論を深め、令和8年夏から秋頃に答申をまとめていく予定。

この後、文科省から令和8年度概算要求に盛り込んだ二つの教員関係の新規事業が説明された。

一つ目は「多様な優れた人材の教師入職総合支援事業」で要求額は1億7600万円。事業内容は、地域単位での一時的な新しい教師入職の在り方・「日本版サプライティーチャー制度」について導入可能性(任用上・実務上の課題等)を調査・検討と、移住支援と組み合わせた、自治体を超えた教師人材シェアリング「トラベルティーチャー」のモデル開発事業で、民間企業や都道府県、指定都市教育委員会、NPO等を対象に委託する。事業規模は1億円、委託件数は1件。

また就職氷河期世代の教師入職を含む、教師確保に資する研修会や広報を実施する。事業規模は700万円、件数は30箇所、補助率3分の1。

もう一つが「働き方改革を踏まえたマイクロラーニング型研修モデル開発事業」で、予算要求額は4200万円。授業づくり、保護者対応をテーマに、教員の隙間時間を活用した5分程度の研修コンテンツの作成、効果検証を行う。講義等では学べないようなコツやテクニックをPCやスマホで学ぶことができる。対象は民間企業、大学等2団体、委託経費は3800万円。