日本工業大学の取り組み

オンサイトPPA活用して太陽光発電使用開始
私大のPPA事業では国内最大級に
学校法人日本工業大学(東京都千代田区)は5月1日から、日本工業大学埼玉キャンパス(埼玉県南埼玉郡宮代町)でオンサイトPPAモデル【注1】を活用した太陽光発電システムによる再生可能エネルギー電気の使用を開始した。
同大学では、国連が定めたSDGs目標達成に向けた取り組みに賛同しており、持続可能な社会づくりを目指して、人材の育成および研究活動を通し、全学を挙げて社会課題解決に向けた活動を推進している。
同大学の環境活動は平成13年6月、JACO(㈱日本環境認証機構)によるISO14001認証・登録からスタートし、以降17年間、同大学が定めた環境方針にのっとり、多岐にわたる活動に取り組んできた。その結果、エコ大学ランキングでの「5つ星大学」受賞や、サスティナブルキャンパス評価(ASSC)での「プラチナ認証」の取得など、社会から高い評価を得ている。
こうしたことを踏まえ、平成30年6月、今までの環境活動を継承しつつ、高等教育機関である大学の事業活動に添った独自の環境推進活動(EnvironmentalManagementSystem:EMS)を追求するため、新たな活動として「NIT―EMS」を立ち上げた。
EMSの実務推進統括として、NIT―EMS本部を設置するとともに、学生を中心としたSDGs活動を支援する体制を整え、環境マインドを持った次世代の人材の育成、および持続的な社会づくりに向けた幅広い社会連携を推進するため、より一層の努力を重ねている。
具体的には▽太陽光発電システムの導入▽遮熱フィルム「アルビード」の導入▽雨水資源化の実現▽ゴミ分別収集の徹底▽バイオ分解方式による生ごみ処理―などの取り組みを実施している。
この中で、太陽光発電システムについては、ISO14001の認証・登録に先立ち、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)との共同研究事業として本館屋上に整備し、平成12年4月に運転を開始した(約30kW)。
その後順次、埼玉キャンパス内に増設し、トータル580kWの総発電能力を有するまで整備してきたものの、本館屋上に整備した設備は設置後20年以上が経過し、老朽化したことから、その更新を含め、新たにオンサイトPPAとして新しい太陽光発電システムを導入することとした。
新たな太陽光発電システムは、西松建設(東京都港区)が同大学埼玉キャンパス内の本館屋上と敷地(拡張地)に自家消費型太陽光発電システムを、オンサイトPPAとして設置し、同大学に再生可能エネルギーの供給を行う(契約期間:20年)。
発電容量は1399kW(本館屋上400kW、拡張地999kW)、年間想定発電量は214万2560kWhとなり、発電した電力は全量、同大学に供給され、同大学の年間電力消費量の約32%を賄う。
同事業によって、CO2を年間約940・58t―CO2削減【注2】できる見込み。同事業は、私立大学におけるPPA事業としては国内最大級の取り組みになる。
なお、既存の太陽光発電設備と合わせ、トータルで発電容量1680kW、年間想定発電量239万2300kWh、同大学の年間消費電力量の約35%となる。これによって、CO2を年間約1050・22t―CO2削減【注2】できる見込みとなっている。
本館の正面入り口には、大型のスクリーンが設置されており、発電状況を確認できる。
【注1】発電事業者が需要家の敷地内に太陽光発電設備を発電事業者の費用により設置し、所有・維持管理をした上で、発電設備から発電された電気を需要家に供給する仕組み。
【注2】「太陽光発電協会ガイドライン(2025年度)」CO2排出係数0・439kg―CO2/kWhを採用。