聖心女子大学の取り組み

「メッツァビレッジ」の自然観察キット開発に協力
英語の専門性と柔軟な発想力生かす
聖心女子大学(東京都渋谷区)はこのほど、現代教養学部英語文化コミュニケーション学科の学生ら32人が、北欧ライフスタイル体験施設「メッツァビレッジ」(埼玉県飯能市)が販売する自然観察キット「Metsä ATUREMAP(メッツァネイチャーマップ)」の開発に協力した。
同キットは子供たちが「メッツァの森」を巡りながら楽しく英語に触れ、生き物や自然と親しみ、学びや気付きを得ることを目的とする。メッツァビレッジ内の自然を気軽に感じることができるMetsä(メッツァ:フィンランド語で「森」)コース(所要時間45~60分)と、メッツァビレッジ内の湖畔を歩きながら森の奥深くや野原まで探索するJarvi(ヤルヴィ:フィンランド語で「湖」)コース(所要時間90~120分)がある。
メッツァビレッジは㈱メッツァ(同)が運営し、豊かな自然に包まれた湖畔の北欧ライフスタイルを体験できる。輸入雑貨を中心としたマーケットホール、レストラン・カフェがあり、季節ごとのイベントなども開催している。
同キットは、同学科開講科目「翻訳を通した企業協力」の一環で作成された。令和5年度から令和6年度にかけて、メッツァビレッジイベントにおけるインターンシップ、現地でのフィールドワーク、講義を経て完成した。学生たちは英語の専門性と柔軟な発想力を生かして、各コースのキャッチコピーやチェックポイント・クイズの要素などを提案した。
同キットの開発に当たっては、学習指導要領(平成29年告示)をベースに、理科、生活、総合的な学習の時間、英語などの各科目から学びの要素を反映させた。同キットを通じて子供たちに自然と生き物を身近に感じてもらうことで、環境を守る大切さや必要性に気付き、自分は何ができるかを考えるきっかけを提供する。また、五感を使って、身近な自然や生き物に関する英語の知識を身に付けられるようにするとともに、正解のない問いをめぐり、感じたことを言葉にする力、考える力、異なる意見を尊重する力を養えるようにする。
英語については、小学校学習指導要領(平成29年告示)【外国語活動・外国語編】を参照し、5、6年生までの英語教育で扱われる文字、語彙(ごい)、文・文構造を把握した。一般動詞は使う頻度が高いものに絞り原形のみを使用するなど、小学生にとって親しみやすく、教室でも活用しやすい英語表現を中心に扱うことを目指した。
東京都教育委員会や飯能市教育委員会が採択している小学校用英語教科書を参照して、使用されている単語・文構造や、扱われている内容(世界の食文化、生き物など)も把握した。
同キットの自然・生き物監修の阿部浩志氏が編集した小学校低学年向けの日英名併記の図鑑や、英語圏で出版されている子供向けのネイチャーアクティビティーブックも参照し、日本の児童が日常の中で触れる英語を確認したほか、英語圏で一般的に使用される表現も調査した。
同キット開発に参加した学生からは「キットが自然や英語を『楽しい』『面白い』と感じるきっかけになればうれしい」「使用する人が楽しく、かつ役立つ英語を取り入れることを心掛け、皆でアイデアを出し合うことができた」との感想が寄せられている。
指導教員の高橋実紗子専任講師は「学生は商品として販売される物の制作に携わる責任を感じながら、小学生の初めての英語、自然体験に関わる喜びを味わうことができたようだ」とコメントしている。
同キットは4月1日から学校・教育団体向けに販売が開始される。価格は500円(税込み)で英語レベル(目安)は小学校低学年~高学年。利用は事前予約制となっている。詳細はURL(https://metsa-hanno.com/workshop/36169/)まで。