中央教育審議会第142回総会開催

第13期会長に橋本雅博氏(住友生命保険相互会社取締役会長・代表執行役)就任

大学の新たな質保証・向上システムなど審議へ

中央教育審議会の第142回総会が3月17日に文部科学省でウェブを併用して開催された。第13期の新会長には橋本雅博氏(住友生命保険相互会社取締役会長・代表執行役、日本経済団体連合会教育・大学改革推進委員長)が選任された。29人の委員のうち、伊藤公平氏(慶應義塾塾長)、田中マキ子氏(山口県立大学学長)など13人が新任の委員として参加する。

会議に先立って武部新・文部科学副大臣があいさつし、「委員の知見を生かした実りある審議を期待したい。会議での提言を踏まえて未来の投資である教育政策に力を尽くしていきたい」と述べた。文科省から、次期教育振興基本計画、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備の方策など第12期の主な答申とリカレント教育の推進・社会教育人材の養成、教師人材の確保のための奨学金返済支援の在り方、次期ICT環境整備方針の在り方、デジタル教科書の推進、人文科学・社会科学系の大学院教育の振興方策など各分科会の活動状況が報告された。

さらに第13期の審議事項である、生涯学習・社会教育の振興方策の具体化、初等中等教育での教育課程の基準の在り方、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策、デジタル教科書推進に向けた取り組み、大学の新たな質保証・向上システムの構築、大学院制度と教育の在り方、法科大学院等の教育の改善・充実について説明があった。

この文科省の報告を踏まえて、今後の審議の方向性への意見が委員に求められた。総会では分科会などに横串を刺し、各部会との対話の場とするのが望ましいという意見が多くの委員から出された。その他に、主な意見として「学び手が勝ち抜く学力に価値を置くのではなく、共に学ぶことに価値を見出せるようにする必要がある」「学力だけでなく、考える力や主張する力を浸透させたい」など学力観、勉強観の転換に関する意見が聞かれ、また「AI時代を生き抜くためには文化・芸術分野の強化も重要。生の芸術に触れ、協力して作品を作り上げるなど、経済的バックグラウンドにかかわらず実現できる場は学校である」と芸術教育の強化を求める意見も出された。高校の無償化に関しては、「子供たちが行きたい高校を選べるようになる最高の方策だが、それは高校教育の質の保証があってこそで、子供、教育には何が必要か議論していきたい」との発言も聞かれた。

教師の負担軽減については、「今までさまざまな課題を学校や教育に委ね過ぎていた。福祉、医療が教育、学校をサポートする仕組みを全国的に作る必要がある。そのためには普段からの首長部局との連携が重要」との意見があった。

そのほか増え続ける不登校児童生徒への対応の強化を求める意見も複数委員から出された。