令和6年度私大等経常費補助金交付状況公表

849校に約2980億円交付

学生1人当たり14・4万円

日本私立学校振興・共済事業団(福原紀彦理事長)は、このほど、令和6年度私立大学等経常費補助金交付状況を公表した。それによると私立大学、私立短期大学、私立高等専門学校計914校のうち849校に総額2979億7468万7千円が交付された。残りの65校は本紙3面に掲載の表の通り、「未完成」、「募集停止」、「管理運営不適正」等により補助金が不交付となっている。

私立大学等経常費補助金は私立学校振興助成法等を法的根拠に、私立大学等の教育研究の維持向上、学生の修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性向上のため、国が財政的支援を行っているもので、私立学校にとって基幹的な補助金。同補助は教職員数や学生数等に所定の単価を乗じて算出した基準額を教育研究条件の状況に応じて傾斜配分する「一般補助」と教育研究に関する特色ある取り組みに応じて配分する「特別補助」がある。

交付総額2979億7468万7千円の内訳は、一般補助が2771億5023万5千円、特別補助が208億2445万2千円。特別補助の交付状況は、(1)成長力強化に貢献する質の高い教育(交付学校数323校、交付額12億4494万8千円、以下同様)、(2)社会人の組織的な受け入れ(140校、2億9698万1千円)、(3)大学等の国際交流の基盤整備(214校、22億5739万7千円)、(4)大学院等の機能の高度化(629校、117億4686万5千円)、(5)東日本大震災からの復興支援(5校、5273万9千円)、(6)「私立大学等改革総合支援事業」の支援対象校に対する増額(225校、41億1399万円)、(7)「少子化時代を支える新たな私立大学等の経営改革支援」の支援対象校に対する増額(55校、8億9千万円)、(8)令和6年能登半島地震、梅雨前線、9月豪雨からの復興支援(78校、2億2153万2千円)で、交付学校実数は717校だった。

前年度と比べ一般補助が7601万2千円増え、特別補助も2億8170万円増えた。学校種別の補助金交付状況は3面掲載の表の通りだが、補助金の約96%が大学に交付されている。1校当たりの交付額は大学が4億8623万6千円、短期大学は4568万2千円、高専は1億1811万7千円。学生1人当たりでは大学が14万4千円、短大が15万1千円、高専が15万1千円。

管理運営不適正によって3大学、2短期大学に補助金不交付の措置が、また2大学、1短期大学に補助金の75%~50%の減額措置が取られた。

補助金の交付状況を学校ごとに見ると、大学で補助金額が最も多かったのは早稲田大学で平成28年度から9年連続。2位が慶應義塾大学などトップテンの顔ぶれは、前年度と比べほとんど変わらない。一位の早稲田大学は、特別補助の交付額が10億1510万3千円と唯一10億円台に乗っている。私大の経常的経費に占める補助金の割合はかつて30%に迫る時期もあったが、今は10%程度となっており、個人に対する授業料等支援が拡充する傾向だ。