大学基準協会 2024年度総会を開催

5年ぶりに対面で開催パネル討議など実施
5月に都内でINQAAHEの国際会議のホストを担当へ
公益財団法人大学基準協会(会長=髙橋裕子・津田塾大学長)は1月16日、東京・千代田区の九段会館テラスで2024年度総会を開催した。コロナ禍が続いたため対面での総会は5年ぶり。
初めに髙橋会長が挨拶に立ち、「総会は会員校同士が集まり交流する重要な機会の一つ。皆様と活発な意見交換を行うため、会場と一体となってパネルディスカッションを行いたい。少子化、グローバル化と社会が急速に変化する中で大学人は社会の期待に応え大学の質を自ら保証することが求められている。本日の総会が皆様にとってこれからの質の保証と向上に向けて新たに踏み出すきっかけになることを期待している」と語った。
続いて同協会事務局が事業の実施状況や今後の予定、収支状況や今後の見通し等について説明した。同協会は評価事業(認証評価等)の他、調査研究事業、国際化事業、法人運営管理事業を実施している。うち国際化事業では、海外質保証機関との交流、情報発信、国際会議参加等を進めており、今年5月には都内で高等教育質保証機関の国際ネットワークであるINQAAHEの国際会議が開かれる予定で、同協会がホストを務める。
その後、同協会常務理事の仲谷善雄・立命館大学長が同大学の進める内部質保証の取り組みの特徴や詳細等を説明した。同大学の内部質保証の特徴は、毎年、学長からの指示により自己点検・評価を実施、学長に対して年末に自己点検・評価の結果を各部会(教学、学生、入試、社会連携、大学運営・財務、教育研究等環境)が報告、それに対して学長は全学的視点等から改善実施要求を出すこと。7年に1度の認証評価の前年度には外部評価を実施、また全ての学部・研究科(16学部21研究科)で専門分野別外部評価を実施。学生自治会や教職員組合、院生協議会等と大学常任理事会による全学協議会でも学費、財政政策に関する議論等を行うことを説明。大学基準協会に対しては、内部では気づきにくい問題点の指摘、世界の動向を反映した評価基準、中高校、企業に向けた大学側の努力のアピール、偏差値以外の視点による志望校選択への誘いを期待していると語った。
続いて「大学基準協会の会員として、自らの大学の質を保証し、さらなる発展を目指すには」と題するパネルディスカッションが行われ、同協会副会長の堤裕昭・熊本県立大学長、同協会常務理事の植木俊哉・東北大学理事・副学長、仲谷学長、同協会常務理事の矢口悦子・東洋大学長がパネリストを、髙橋会長がモデレーターを務めた。
このうち熊本県立大学と東洋大学からは内部質保証の取り組み等が説明され、東北大学の植木副学長からは大学基準協会の社会的役割と存在理由等が説明された。その中では「適マーク(=認証評価)を貰うだけでは大学の発展に繋がらない」「受審と皆が毎日やっていることを繋げ負担を軽減したい」「日本の400以上の国公私立大学等が加入する唯一の団体」といった意見等が出され、東洋大学からは大学基準協会に大学の職員を派遣(出向制度)し、大学に帰任後は、さまざまなネットワークを活用して大学改革の中心となって活躍している、といった報告も聞かれた。
大学基準協会は1947年に米国のアクレディテーション団体をモデルとして、国公私立大学46校により設立された大学団体で、「会員の自主的努力と相互的援助によって、わが国における大学の質的向上を図る」ことを目的に、「大学基準」の制定や会員相互資格審査などを通じて、戦後の大学改革の一翼を担ってきた団体。1990年代に入ると、大学の設置に関する規制緩和の動きに呼応していち早く自己点検・評価を基礎とする大学評価を開始。2004年度からは国で認証評価制度が始まり、同協会がわが国初の大学機関別認証評価機関としての認証を受けている。昨年4月1日時点の会員数は正会員(同協会の認証評価を経て加盟が認められた大学・短期大学)は国公私立を合わせ304、賛助会員(同協会の目的に賛同する大学・短期大学・団体)は112