文科省令和7年度予算案

高校生等奨学給付金増額
多子世帯の学生等支援拡大
令和7年度政府予算案については、昨年12月27日に閣議決定され、今年1月24日にも通常国会が召集される見通しで、政府与党は年度内の成立を目指している。前号では私学助成関係の来年度予算案について報告したが、今号では、高校生等への修学支援や高等教育の修学支援の充実など私学助成以外で私立学校にも関係の深い予算案について報告する。
高校生等のいる家庭の教育費負担の軽減を目的にした「高等学校等就学支援金等」や「高校生等奨学給付金等」については、総額で4231億円を計上しており、前年度(4244億円)とほぼ同額の計上となった。
このうち高等学校等就学支援金等には4074億2300万円を計上。年収910万円未満の世帯の生徒等を対象に高等学校等就学支援金を給付する。高校生や中等教育学校、特別支援学校(高等部)、高専(1~3年生)に留まらず、専修学校(高等課程、一般課程)や各種学校(国家資格者養成課程等)も対象となっている。
私立高校等に関しては、年収590万円未満世帯にはベースとなる年額11万8800円に、私立高校の平均授業料を勘案した水準(39万6000円)まで加算支給が認められており、自治体によっては更に上乗せ支援措置が設けられている場合もあり、近年はその格差が課題ともなっている。
高校生等への授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)は総額147億3200万円を計上している。この給付金は生活保護受給世帯と非課税世帯(家計急変世帯を含む)の授業料以外の教育費負担を軽減するもので、都道府県が行う奨学給付金事業に国がその経費の一部を補助するもの。補助率は1/3。令和7年度からは国公私を問わず非課税世帯の全日制等に通う第1子について前年度と比べ9400円上積みされる。
私立学校の場合、生活保護受給世帯で全日制等・通信制に通う生徒に年額5万2600円、全日制等に通う非課税世帯の第1子に15万2000円、全日制等に通う第2子以降(15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合)も年額15万2000円が、非課税世帯の通信制課程に通う生徒については年額5万2100円が給付される予定。このほか高校等専攻科生徒、高校等で学び直す者への授業料支援等に9億900万円が計上されている。
一方、高等教育の修学支援の充実には7494億円を計上している。令和6年度と比べると約1082億円の増額となっている。
内訳は、高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金・授業料等減免)が前年度比1094億円増の6532億円(国・地方の所要額は7025億円)。大幅な増額となったのは令和7年度から子供を3人以上扶養する世帯の学生等について授業料等を上限額まで所得制限なく無償化するため。
この修学支援新制度の対象となる学生等は、大学・短期大学・高等専門学校(4年・5年)、専門学校の学生等で、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯(世帯年収目安600万円程度まで)で、授業料減免と給付型奨学金をセットで支援する。支援額は校種、設置者、学生が自宅か自宅外か、世帯年収等によって変わってくる。そのほか対象学生となるための個人要件や対象となる教育機関の要件が設けられている。
もう一方が無利子奨学金、授業料後払い制度(大学院修士段階)、有利子奨学金で、無利子奨学金の予算額(政府貸付金)は962億円、その他は財政融資資金で賄う。授業料後払い制度は令和7年度から本格実施されるもので、返還額は卒業後の所得に応じて変動する。無利子奨学金については経済的理由で進学を断念しないよう貸与基準を満たす希望者全員に貸与を確実に実施する。無利子奨学金、有利子奨学金とも返還額は定額で、卒業後20年以内。ただし無利子奨学金で所得連動変換方式を選択した場合、卒業後の所得に応じて変動する。
そのほか返還期限猶予制度、減額返還制度といった仕組みもある。