第3回高等教育の在り方特別部会開催

留学生の増加卒後の就労等見据える必要指摘する意見 

地方での自治体との連携など調査へ

想定を超えるスピードで少子化が進展する中で2040年以降の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方や国公私の設置者別等の役割の在り方等に関して、実現可能な具体策を検討している中央教育審議会大学分科会「高等教育の在り方に関する特別部会」(部会長=永田恭介・筑波大学長)は2月27日、文部科学省でWEB参加も交え第3回特別部会を開いた。同部会は委員による意見発表、テーマを絞っての議論を続けており、第3回特別部会では学生の減少が見込まれる中で留学生や社会人学生の拡大方策や、地方での高等教育へのアクセス確保の問題などを議論した。

第3回特別部会では、初めに同部会の小林浩委員(リクルート進学総研所長)から「社会環境の変化と大学教育への期待~高大社接続の視点から~」の演題で、続いて大森昭生委員(共愛学園前橋国際大学・同短期大学部学長)から「地方における高等教育へのアクセスをいかに維持するのか―地方小規模大学からの提言―」の演題で、意見発表を聴取し、部会で意見交換した。

意見発表に先立って事務局(文科省)が、昨年11月の初会合以降、これまでの特別部会や大学分科会で出された主な意見を、(1)背景、(2)高等教育の目指すべき姿、(3)教育研究の「質」の更なる高度化、(4)地方における質の高い高等教育へのアクセス確保・高等教育全体の適正な規模―の4項目に整理、また今後、これらの項目に加えて、設置者の区分に留まらない高等教育機関の規模や特色の在り方、高等教育に対する公財政支出、社会からの投資の拡大の方策についての検討の必要性についても言及した文書(本紙2面に掲載)や、今年1月26日の第2回特別部会で出された主な意見、前回、両角亜希子委員(東京大学大学院教育学研究科教授)から要請のあった、経営に課題を抱える学校法人に対する文科省や日本私立学校振興・共済事業団の現在の取り組み、定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分(法人全体)等の概要が文科省から説明された。

最後に同省が今後実施する、地方自治体と高等教育機関との連携状況に関するアンケートの質問項目が紹介された。同アンケートは前回、地域の高等教育の規模等を考える際、地方自治体の関与が不可欠であり、既存のプラットフォームが十分に機能せず、地域の産業振興や人材育成に不可欠な高等教育に対する地方自治体の関心度が低いといった指摘があったことから実態把握のため実施するもの。大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を対象にした調査と、都道府県・政令市を対象にした調査を行う。地方自治体等に対しては、域内の高等教育機関との連携を担当する組織及び政策全体の中での位置付け、地域連携プラットフォーム、少子化の中で自治体と高等教育機関との連携の必要性の認識を、大学等に対しても同様な項目を尋ねる予定。

前述の2人の委員による意見発表のうち、小林浩委員は、人口減少下で高等教育の量的拡大が進む中で、大学教育の質は担保・保証されているかとの課題を提示、第三者評価に関して大学自身の質向上・改善のプロセスとしては機能しているが、大学の外から見ると非常に分かりづらく、不適合を受けた大学がそれ以前の適合の評価書を掲載するケースもあるなど情報公開が不徹底となっており、学修者本位の教育実現に向けてた情報公表(各大学に学ぶためにどのような準備をすればよいか、認証評価機関共通のフォームによるエグゼクティブサマリの作成等)、また留学生を呼び込むためには日本の大学で学ぶ魅力、卒業後の就労・生活までを見据えた対策、中央の論理ではなく、地域でどのような人材が必要なのかを、産業・行政、大学等・金融で真剣に話し合う時期に来ていること、新たな社会課題に対応した学問領域(複合分野)を誕生させるために柔軟な設置認可の仕組みが必要なこと、大学の「量(規模)」については国内、18歳、対面にこだわらない柔軟で多様な制度設計、高等教育機関としての専門学校も議論の俎上に上げること、マイクロクレデンシャル、デジタル証明等で社会人の学びの可視化と学び重ね(学習歴管理)を可能にすることなどを提言した。

また大森昭生委員は、2023年度、大学の半数以上(54%)が定員割れを起こしており、定員割れ大学がマジョリティーであり、個々の大学の努力で何とかなるというフェーズは既に終わっている段階であること、地方から段々と大学がなくなっていること、こうした問題は大学、文科省だけで語れない問題で、内閣府や総務省、厚生労働省、経済産業省等々との合同の議論が必要なこと、こうした課題を解決する具体的施策については、パートタイム学生もその年度の学生として計上できる仕組み、大卒留学生の就職促進、学び直して仕事に戻ることの促進、私学助成については大学の規模の大小に関わらず、少額でも全大学同額を配分した上で、規模に応じて配分する2段階方式の採用、国公私立の大学間統合等を話し合うためのファシリテーター的な役割を担う人や機関の必要性、学則定員を維持したまま募集定員を縮小、余剰定員で新学部学科に移行できる仕組み、法人統合を受け入れた側への一定のインセンティブ付与、国私立大学も交付金算定の対象にして地方自治体がその地域にある大学を自分事化する、地方自治体が申請者となる大学を対象とする事業等の実施などを提案した。

こうした発表や意見の整理に関して同部会の委員からは、「アジアや中東の留学生は米国、欧州に行ってしまう。英語による教育を含めて日本の大学の魅力についてもっと細かな議論が必要だ」「英語を使って日本で暮らしていける環境が大事。そうでないと留学生は定着しない」「日本は給与が(欧米に比べ)低い。社会と一緒に考えないとダメ」「大学では経営面が大事。国立大学の学費はダンピングだ。国立大学の収入を減らせと言っているわけではない。学費を払える家庭にはしっかりと払ってもらい、払えない家庭には奨学金が必要。公立大学の授業料無償化は論外だ」「大学の先が見えていれば学費が高くても払ってくれる」「春入学、秋入学選べる制度にしたらどうか」などの意見が聞かれた。