第140回中教審教員養成部会開く

優れた教師人材の確保に向けて

奨学金返還支援の在り方審議

中央教育審議会初等中等教育分科会の「教員養成部会」(部会長=秋田喜代美・学習院大学文学部教授)は2月20日、文部科学省でオンラインも活用して第140回部会を開いた。この日の議題は、優れた教師人材の確保に向けた奨学金返還支援の在り方、(2)令和6年度文科省予算案「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化」事業について。

このうち議題(1)に関しては、事務局(同省)がこの議題については昨年12月中に2回部会を開き議論し、また2人の有識者からヒアリングを行ったこと、そうした内容を関係情報も含め整理した案を提示、ポイントを説明した。議論の整理案は、5ページ足らずの、簡潔な文章でまとめられたもので、(1)教師を取り巻く環境、(2)教師になった者への奨学金の返還支援の意義・目的について、(3)返還免除と対象範囲等の考え方について、(4)返還免除の導入に向けた方向性―で構成されている。このうち(3)では「教職の高度化」(質の向上)の観点から整理した内容と、「教師志願者の確保」(量的確保)の観点から整理した内容が示されていて、(4)では質の向上、量的確保のいずれの意義・目的も重要であり、教師志願者の量的確保が教師の質の確保・向上にも結び付くと考えるべきで、また現行制度で出来ることについては速やかに具体化を進めつつ、更なる充実方策については、引き続き追究していくことが重要、としている。

質の向上に関しては、教育課題が高度化・多様化し、大学院レベルにおいて理論と実践の往還による学修を通じて高度専門職としての人材を養成することが重要なこと、速やかな実現の観点からは、日本学生支援機構が現在実施中の「大学院を対象とした優れた業績による返還免除制度」(全額あるいは半額)の活用が考えられる、としている。そのほか教師志望の社会人や現職の教師によるリカレント教育という視点、過去に教育職に対する返還免除制度が存在し、その後に廃止された経緯、現在の経済的支援策の充実等の状況の変化等を踏まえることの必要性も指摘している。

議論の整理案に対して委員からは、「ここ数年は特に教員が足りない。(新しい)制度が出来た頃には(需要が)ピークアウトしてしまう。地方自治体の支援に可能性を感じる。自治体間に財政力差があるので、それを国が支援するのがいい。短期的緊急的に量的確保を考えるべきだ」「教職の魅力は働きやすい環境が一番」「量と質は連動している。まずは量を優先させるべきだ」「奨学金の返還支援だけで教職志望が増えるわけではない。働き方改革、質的要素に力点を置かないと志望者増は定着しない」などの意見が出された。

一方、議題(2)に関しては、文科省の新規事業として令和6年度予算案に盛り込まれた「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化」(予算額4億5100万円)が事務局から説明された。全国的な教育水準の維持・向上に資する教師養成をミッションとする教員養成学部・大学と教育委員会が連携・協働した教員養成の取り組み強化に係る経費を一定期間支援、また大学入学者選抜における地域教員希望枠の導入や地域課題に対応したコース・カリキュラム構築、高校生に対する特別プログラム構築・拡充、大学における地域貢献機能の充実が同補助金の事業内容。

地域課題に対応したコース・カリキュラムの構築では教育DXや心理・福祉など特定分野に強みや専門性を有する教員養成プログラムの構築、採用者数や免許保持者が少ない免許種等に関する広域的な養成機能・体制構築など五つの例が示されている。具体的には、1大学と1教育委員会による単独事業(15箇所)と、複数大学+1教育委員会による複数大学連携事業(3箇所)があり、補助期間は最長で5年間、補助対象は教職課程を置く国公私立大学。補助上限額は単独事業が2200万円、複数大学連携事業が3900万円で、いずれも定額補助。2年目以降定額の上限は逓減する。

同事業について委員からは「高大接続がメインとなっているが、大学と大学院や大学院と初任者研修の接続も対象になるのか」との質問があり、文科省は「高大接続に限った話ではない」などと回答した。