「大学院リカレント教育の再定義と再評価」公表

私立大学連盟 大学院リカレント教育の前進に向け

私大、企業、政府等に提言

国や産業界から大学院でのリカレント教育への関心が高まる中で、一般社団法人日本私立大学連盟(田中愛治会長=早稲田大学総長)は、昨年12月5日、大学院のリカレント教育における私立大学や産業界の役割を考察し、リカレント教育の方向性を提言した報告書「大学院リカレント教育の再定義と再評価~リスキリングという新たな社会のニーズを踏まえて~」を公表した。  

同報告書では、大学院での学びの意義は、(1)大卒者に比べて賃金が高いこと、(2)学生時代に獲得した知識・能力は、社会で獲得する知識・能力と強い関係があり、社会に出てからの学びの習慣につながること、(3)専門知識・能力だけでなく、俯瞰力、分析能力、学び続ける力など汎用的能力が得られることの3点にあるとしている。

しばしば混同されるリカレントとリスキリングの違いについては、学ぶ内容、身に付けるスキルによるものではなく、リカレントは個人主体の学びで、転職を含む離職が前提、リスキリングは、組織主体の学びで、同一企業に留まることが前提と再定義。その上でリカレント教育が日本で定着してこなかった理由は、大学側と産業界側で学位の捉え方に大きなズレがあること、雇用の流動性が低いことなどにあると指摘。また、産業界が大学院での実践的な学びを重視することを考えると、第一段階として学位取得に結び付かないプログラムやリスキリングの方策の検討も必要としている。  

具体的な提言として、私立大学には、履修証明プログラム制度の導入、特に進んでいない人社系、医・歯系以外の自然科学系の産学推進プログラムの開発、企業のリスキリングニーズに合ったプログラム開発など産業界と大学のマッチング機能の整備、実務家教員の適切な配置と積極的活用など教員に対する産学連携の推進などを求めている。

企業・産業界に対しては、大学院の学びの本質は専門知だけでなく、汎用的コンピテンシーにあることへの理解、大学側に具体的ニーズを示し、カスタマイズ・プログラムを共同開発すること、学びの成果の人事評価や報酬への反映などを求めている。  

政府・地方自治体には、大学院生(社会人)への奨学金による支援、大学院リカレント教育に特化した私学助成の増額、企業など法人からの寄付の全額損金算入制度の創設、大学院修了者の積極的な採用・評価、企業のニーズを取り入れ、履修証明プログラムの最小単位数を減らすための大学院設置基準の改正、マイクロクレデンシャル・プログラムの制度化などを提言している。