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記事2023年5月23日 2613号 (1面) 
第2期GIGAなどデジタル学習基盤で特別委
生成AIの学校現場での利用検討へ
夏前にガイドライン公表

4月4日の第140回中央教育審議会初等中等教育分科会で設置が決定された「デジタル学習基盤特別委員会」の初会合が5月16日、WEB会議方式で開かれた。委員長には堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授が就任した。GIGAスクール構想に基づき児童生徒1人1台端末の活用が進んでいるが、活用状況については地域間・学校間で格差が生じているため、成果と課題を整理して、今後の端末更新(GIGAスクール構想第2期)も見据えて、目指すべき教室像や実現すべき施策、故障リスク等も念頭に置いた標準的な整備の在り方、今後の通信負荷増を視野に入れたネットワーク整備の在り方、これらの調達方法(端末買取とリース、共同調達等)、地方自治体の責任で確実に実施すべき事柄、このほか文科省等の複数の会議体で教育のデジタル化の議論が先行しているが、デジタル学習基盤全体の整合性に留意して必要な検討や指摘を行っていく。


また、最近になって教育界にとって大きな課題となっている生成AI(Chat GPT)について学校現場での利用に関する今後の対応に関して、学識経験者や現場教員に書面ヒアリングを行い、政府全体の議論も踏まえ、夏前を目途にガイドラインver1・0を公表する計画。その中には、生成AIの説明や活用が考えられる場面、禁止すべきと考えられる場面、年齢制限や著作権、個人情報の扱い、授業デザインのアイデア(生成AI自体を学ぶ授業+具体の活用法)等を盛り込むが、あくまで暫定的なものとして公表し、機動的に加除修正する予定。


GIGAスクール構想の現状について、文科省からは1人1台端末を授業で活用している小学校の割合は、「ほぼ毎日」と「週3回」の学校で83・1%に上るものの、20%台、30%台の県も6県あり、児童が自分で調べる場面や、教職員と児童がやり取りする場面、自分の考えをまとめ、発表・表現する場面等でICT機器を使用している学校の割合は大きく低下、さらに家庭でGIGA端末を「毎日持ち帰り&利用」+「時々利用」の学校の割合は23・4%と極めて低い状況だ。その一方で約45%の小学校長が教育課程外でプログラミングに取り組む児童が増加と回答、日本のプログラミングサイトScratch利用者数・世界シェアはGIGA以降、大幅に増加している、と回答している。こうした文科省からの説明に特別委員会の委員からは、「ここで失速するのか。巡航速度に乗るのが大事」「教えから探究的学びを作ることが課題。端末を使うことを子供たちに委ねることが大事」「学力観や教科構成なども考え直すことが必要」「端末を継続配布してほしい。教育データの標準化が必要」「ICT支援員の育成・研修が重要。教育現場の教員の本当の姿を見ているのはICT支援員」などの意見が出された。


このほか令和7年度以降の次期ICT環境整備方針の在り方を検討するワーキンググループ(WG)を特別委員会の下に設置することも承認された。WGの委員は堀田委員長に一任された。


最後に生成AIについて複数の委員から意見が出され、「規模を限って実験的な活用をすべきだ。翻訳ソフトの活用などがいい」などの意見が聞かれた。

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