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記事2023年3月3日 2605号 (1面) 
第172回中教審大学分科会開く
出口の質保証等の審議まとめ案了承

 中央教育審議会大学分科会(分科会長=永田恭介・筑波大学学長)は2月24日、オンラインと対面のハイブリッド方式で第172回会議を開催した。今期(第11期)最終の分科会では、(1)独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法に規定する助成業務の実施に関する基本的な指針(案)の意見聴取結果、(2)教学マネジメント指針(追補)の作成、(3)国際連携教育課程制度(ジョイント・ディグリー)の見直し、(4)大学設置基準及び専門職大学院設置基準の改正等、(5)認証評価機関の認証、(6)私立学校法の一部を改正する法律案の議題の他、(7)前回会議(1月25日)での委員の発言等で修正を加えた大学分科会の今期の「審議まとめ(案)」が事務局から示され、委員が意見を述べた後、審議まとめ(案)が了承され、細かな修文は永田分科会長に一任された。永田分科会長は会議の最後に第11期の議論を振り返り、「(中教審大学分科会の前身の)大学審議会は文部大臣に勧告する権限があった。今期は若干小振りに閉じたことを反省している。次期では色々なことを越えて議論を行えるようにしてほしい」と語った。


 このうち議題の(1)に関しては、令和4年度第2次補正予算で計上された「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援」(予算額3002億円)の助成業務の実施で文部科学大臣が定める基本指針案に関して、前回の大学分科会以降、委員から聴取した意見に基づいて基本指針案で改正した点が事務局から説明された。


 改正点は資格要件については全てを満たさないと申請できないが、審査の観点で挙げた学生数拡充や学生確保の見通し、初中段階との連携等については全ての事項を満たすことを求めるものではないことを明確化、また審査の観点に企業・自治体等との連携を加えたこと、交付方法に関する基本的な事項の箇所で一定数の大学に限り一定額の加算も可能との記述を付け加えたことなどが説明された。詳細については同機構が基本方針に沿って設定する。


 (2)に関しては、令和2年1月に作成され、各大学に示された「教学マネジメント指針」に関して、それ以降の教育改革の動向や重要な大学入学者選抜の実施上の留意点などを追補として示したもので、前回会議以降の意見で修正した箇所等が事務局から説明された。この追補では大学入学者選抜における方法の多様化、評価尺度の多元化等、学力検査で課す教科・科目等や高校における教育との適切な接続、総合的な英語力の育成・評価などをまとめているが、そのまま従う「マニュアル」を意図していない、としている。


 (3)のジョイント・ディグリーに関しては、追加的な基幹(専任)教員(コーディネーター)の配置の緩和など国際連携学科等の更なる設置促進につながる制度改善を検討しようというもの。委員からは日本の質保証システムの国際化の検討を求める意見が出された。


 (4)は省令改正で教員養成に関する学部に関して必要な実務家教員の割合を学部の種類及び規模に応じた必要最低教員数のおおむね2割以上は実務家教員と別に告示で定めるとすること。施行は今年10月1日、経過措置があり、令和8年度以降に行おうとする設置等の認可の申請や届け出から適用となる。また省令改正で教職大学院入学前に科目等履修生として大学院の単位を修得した場合、当該単位修得時の大学院入学資格の有無にかかわらず、在学期間の短縮を可能とする、との改正。公布日から施行予定。


 このほか(5)では新たな認証評価機関(一般社団法人専門職高等教育質保証機構)について永岡大臣から2月24日付で認証の是非が諮問されたこと、(6)では国会に提出された私立学校法の一部を改正する法律案について、文科省の滝波私学行政課長から改正の趣旨やポイント等が説明された。


 (7)の審議まとめ案では、主専攻・副専攻制の活用等を含む文理横断・文理融合教育の推進、出口における質保証の充実・強化、学生保護の仕組みの整備について提言しているが、委員からは次期の大学分科会での議論に向けて、少子化と大学等の関係を全国ブロック単位で検討する必要性や出口の質とは何かについて更に丁寧な議論が必要との意見が出されたほか、大学全体の定員調整の本格的な検討、学生が地域や大学等を越えて学べる仕組みの検討などが求められた。

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