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記事2023年3月23日 2607号 (1面) 
第5回教育未来創造会議開催
4月の第2次提言に向けた「論点整理」案を議論
留学や教育の国際化が柱

 岸田総理は3月17日、総理官邸で約半年ぶりに第5回教育未来創造会議を開催した。この日は、昨年9月2日に公表した第1次提言の工程表のフォローアップ等について議論が行われたほか、同会議の下のワーキンググループで検討を続けている第2次提言に向けた「論点整理案」について議論が行われた。


 会議の最後に発言した岸田総理は、「今回の第2次提言においては、従来の留学生30万人計画に代えて、外国人留学生の受け入れとともに、日本人学生等の海外派遣を加えた新たな留学生派遣・受け入れ計画を策定する。本日の議論を踏まえ、新たに2033年までに日本人学生の海外留学者数50万人、外国人留学生の受け入れ数40万人の実現を目指すことを始めとした具体的な指標を同計画に位置付けるようお願いしたい。その上で、目標が達成できるよう、日本人学生の中長期の海外派遣の拡大や、英語教育・国際理解教育の推進、有望な外国人留学生の受け入れを進めるための環境整備、在留資格に関する見直しや企業への就職円滑化と定着の促進、国際化に取り組む大学の環境整備や、外国人材への魅力的な教育環境整備等について、より踏み込んだ提言をお願いしたい」と語った。また法務省に対し、「高度人材の受け入れに向けた世界に伍する水準の新たな制度として、特別高度人材制度及び特定活動における未来創造人材制度の創設について来月中旬の施行を目指して準備を進めるよう指示。


 同会議の第2次提言については4月中に取りまとめるよう担当の永岡桂子大臣に指示した。


 4月中に取りまとめられる第2次提言は留学生の派遣・受け入れ、教育の国際化の推進が柱となる。同会議の論点整理案では日本人学生の海外留学停滞傾向が続く中で、コロナ禍により海外留学が激減、また高校生の留学では地域による格差が非常に大きく(生徒数に占める留学者の割合:京都府2・90%、青森県0・36%)、また外国人留学生の在学者に占める割合がオーストラリアでは3割、英国では2割を超え、非英語圏のドイツやフランスでも1割を超えている一方で、日本は約6%と低く、教育の国際化(大学の海外展開、英語のみで学位が取れる学部、外国人教員の割合、高度外国人材にとって不十分な子供の養育環境)の整備の遅れ等を指摘。


 その上で対応策の検討の方向性として高校段階から大学院段階までを通じた日本人学生の派遣の推進、初等中等教育段階における英語教育・国際理解教育・課題発見・解決能力等を育む学習等の推進、外国人学生の日本への留学機会の創出、入学段階での要件・手続きの弾力化、国内大学の教育研究環境の質および魅力の向上、日本人学生の就職の円滑化に向けた環境整備(帰国後の留学生に対する通年採用、秋季採用、多様な選考機会の提供促進等)、外国人留学生等の高度外国人材の定着率の向上(外国人留学生の国内インターンシップ促進、企業風土の改善、関連する在留資格制度の改善等)、教育の国際化の推進(海外大学とのジョイント・ディグリーおよびダブル・ディグリー取得、地方における国際的な中等教育機関の整備促進、国内大学の海外分校、高専を始めとする日本型教育の輸出等)を挙げている。


 このほか第5回教育未来創造会議では、出入国在留管理庁から創設予定の「特別高度人材制度」と「未来創造人材制度」が説明された。

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