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記事2023年3月13日 2606号 (1面) 
第139回初等中等教育分科会開催
分科会下のWG等の審議状況報告討議
複数の委員が学校現場の負担軽減求める声

 第11期中央教育審議会で最終の第139回初等中等教育分科会(分科会長=荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長)が3月8日、WEB会議方式で開かれ、同分科会の下に設けられている部会等での審議状況が事務局(文部科学省)から報告され、委員による意見交換が行われた。


 同分科会には個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(荒瀬克己部会長)があり、その下に教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ(以下、WGと表記)、義務教育の在り方WG、高等学校教育の在り方WGがあり、他に教育課程部会、教員養成部会、学校安全部会、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会が設けられている。


 このうち三つのWGに関しては、教科書・教材・ソフトウェアの在り方WGでは今年2月20日に「審議経過報告」が取りまとめられ、デジタル教科書の在り方や、導入を円滑に実施するための視点、デジタル教材の多様な在り方、デジタル教科書・教材・学習支援ソフトウェアの関係などが議論され、整理されている。


 義務教育の在り方WGと高校教育の在り方WGはこれまでの審議内容を2月20日にそれぞれ「論点整理」としてまとめており、3月8日の初中分科会で報告されている。そのうち義務教育の在り方に関してはICT環境が整備されている中で子供たちが集まって学ぶことなどの意義の現代的整理や、義務教育として何を継承していくのか、教師の働き方改革を実現する学校施設、学校教育になじめない子供に対する学びの保障として不登校特例校、教育支援センター、学校内別室、フリースクールなどの学びの場の抜本的拡充、いわゆる一条校以外における学びの質の保証・評価などに焦点を当てている。


 高等学校教育の在り方WGでは、在学中に成人(18歳)となる生徒がいることを踏まえ、どのような高校教育が求められるのか、都道府県や学校設置主体の別を越えた全国的な連携・推進体制の構築に必要な取り組み、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方、STEAM教育など文理横断的な学びを進めるための方策、企業等の人材が教育・運営に参画して教育課程の刷新・実践を行う取り組みへの支援等を引き続き検討していくことなどを論点としている。


 この他「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申(令和4年12月19日)や、令和5年2月21日に更新されたそれら改革の工程表、令和4年3月25日に閣議決定された第3次学校安全の推進に関する計画(令和4―8年度)、幼小架け橋特別委員会の報告(令和5年2月27日)などが報告された。


 その後、第11期で最終の会議ということで、同分科会委員が一人ずつ意見を発表したが、その中ではコロナ禍の中でほとんど失われた児童生徒同士がぶつかり合うことの価値を大切にしたいとの発言や、就学人口の減少による教員需要の低下に合わせて、教員を養成する側をどうしていくのか、一定の方向性を出して、改革を実現する必要性を訴える意見、教員の労働環境の厳しさからブラックといわれている中で良い人材の確保がいまにもまして問題になっていくことの問題点を指摘する意見、学校への不審者侵入事件の発生を受けて対応策の検討を求める意見などが聞かれたが、特に教員の厳しい労働環境の中で学校から切り離せる業務を考える必要性、学校の業務増えていく中で、引き算で考えていくことの必要性を強調する意見など早急で効果のある働き方改革を求める意見が複数聞かれた。ICT環境の充実など学校現場での変化に合わせて、教員養成大学の教員の意識改革が重要だとする意見も出された。


第139回初等中等教育分科会

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