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記事2023年2月3日 2602号 (1面) 
中教審第138回初等中等教育分科会
部活動の地域移行等の状況報告審議
人間的成長の面での心配述べる委員も

 中央教育審議会の第138回初等中等教育分科会(荒瀬克己分科会長)が1月18日、オンラインで開催された。この日は、(1)昨年12月19日に文部科学大臣に提出された中教審答申「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」、(2)令和4年度教育委員会における学校の働き方改革のための取り組み状況調査結果、新型コロナウイルス感染症と学校等における学びの保障のための取り組み等による児童生徒の学習面、心理面等への影響に関する調査研究、(3)学校部活動の地域連携や地域クラブへの移行について、(4)「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議の審議経過について報告・審議が行われた。


 このうち(1)の答申は多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成、小学校教諭と中学校教諭の両免併有の促進、研修履歴記録システム及びプラットフォーム(教委・大学・民間等が提供する研修コンテンツを一元的に収集・整理・提供するシステム)の一体的構築、失効・休眠免許保持者の円滑な入職の促進などを提言したものだが、文科省からは工程表についての説明が行われた。その中では教員採用選考試験の早期化・複線化について、国・任命権者・大学等と協議会を開催し、令和5年6月までに一定の方向性を提示すること、教員資格認定試験において、高校「情報」を令和6年度から実施することなどが説明された。委員からは、「採用試験の前倒し実施が報道されたが、大学4年次を有意義にさせるためにも3年生にも対象を広げ、在学中に2回受験できるようにすべきだ」との意見も出された。


  (2)の学校の働き方改革の取り組み状況調査結果では令和元年度と4年度を比べると、小・中学校で時間外勤務時間が月に45時間以下となる比率が増えるなど改善が見られるものの、依然として長時間勤務の教職員も多いこと、保護者との連絡手段のデジタル化も進展していた。文科省では令和4年度実施の教員の勤務実態調査結果を踏まえて教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含めて検討することにしている。


 またコロナ禍が学校・児童生徒に及ぼした影響については、文科省の委託研究として東京大学大学院の中村高康教授らのグループがまとめたもので、学校行事の中止等で小学生の一部は学校生活に不満を高める傾向で、中学生の一部は部活の縮小や大会の中止が心理的に影響、地域コミュニティーとの関係にも影響し、またコロナ禍初期にICT環境が整備されていなかった学校ほど教員が多忙化していたことも分かった。


 (3)に関しては、令和5年度から7年度までの3年間を改革推進期間として、7年度から実施ではなく、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すことなどの方針が説明された。(4)は教育委員会の機能強化・活性化のための方策、教育委員会と首長部局との効果的な連携の在り方等を審議しているもの。


 特に(3)に関しては、「部活動の地域移行で理想型の押し付けは良くない。各地域で暗中模索している」、「人間的成長を地域クラブが果たせるのか」など慎重な検討を求める意見が複数聞かれた。

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