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記事2023年2月23日 2604号 (1面) 
義務教育、高校教育WG等合同会議開催
審議経過報告、論点整理まとめる
オンラインと通学の関係など整理へ

 中央教育審議会初等中等教育分科会個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会(第3回)・義務教育の在り方ワーキンググループ(第6回)・高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第6回)の合同会議が2月20日、WEB会議方式で開かれた。


 この日の議題は(1)同部会の下に設置されている「教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキンググループ」でまとめられた「審議経過報告」についての審議、(2)義務教育の在り方WGと高等学校教育の在り方WGでそれぞれまとめられた「論点整理案」の審議。


  このうち教科書等WGの「審議経過報告」では、デジタル教科書についてはデジタルのメリットを生かす機能は継続・充実しつつ、シンプルで端末・通信負荷の軽いものであること、通信面や指導面の課題も踏まえ、教科・学年を絞って令和6年度から段階的に導入(小学校5年生から中学校3年生を対象に「英語」を導入、その次に現場ニーズの高い「算数・数学」を導入する方向)し、紙の教科書とデジタル教科書については児童生徒の特性や学習内容等に応じてハイブリッドに活用すること、またデジタル教材や学習支援ソフトウエアに関しては、質の議論が重要で、子供たちの学びの選択肢をどれだけ増やせるかの視点が大切などと整理している。


 こうした審議経過報告に委員からは、「デジタル教材等が出てきたときに学校や教員の役割を明確化するのか」との質問があり、文科省は、「しっかり議論すべきこと」との意見があったことなどを報告。また別の委員からは、「デジタル教科書、デジタル教材が出てくる中でカリキュラム・オーバーロードを懸念して選択の原理・方向性についての議論が必要」との意見が出された。


 続いて義務教育の在り方WGの論点整理案では、教師が全てを担う学校運営の自前主義からの脱却を求めており、オンラインの学びと学校に登校して学ぶことの関係について義務教育の意義を踏まえ、どのような状況下で、どのような子供を想定して考えるのか整理が必要なこと、学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障では、一条校以外における学びの質保証や評価についての議論、不登校傾向の子供や長期欠席の子供の実態について調査などを通じてエビデンスを整備すること、不登校の要因について丁寧な分析を行い、その結果に基づいた方策の検討の必要性等を指摘している。


 また高校教育の在り方WGの論点整理案では、遠隔教育の活用や学校間連携の推進を通じ、多様な学習ニーズへの対応や特色ある教育の展開、生徒の学びの充実等を可能とするため具体的にどのような方策を講じるべきか、全日制・定時制課程で不登校経験を有する生徒や特別な支援を必要とする生徒などが学びを継続できるようにする方策、通信制課程で人間関係を構築し、社会性を育むための具体的方策、学校間連携や課程間併修の推進に向けた具体策、学期ごとの単位認定や実効的な単位制への移行促進、全日制・定時制・通信制の区分の在り方、探究的な学びやSTEAM教育等の文理横断的な学び・実践を専門的な人材の乏しい地域や小規模校も含め全国的に推進していく方策の検討の必要性を指摘している。


  こうした論点整理案に委員からは、「学校教育になじめない子供も環境が変われば変わっていくので小中学校でも他の地域への国内留学を円滑にできる仕組みの議論が必要だ」との意見、高校入試の在り方の検討を求める意見も聞かれた。


 また「通信制を使っての小学校や中学校に関する議論はあったのか」「弱みを補うことにシフトしているのが気になる。強みを伸ばすことの議論を深めるべきだ」「学校で学ぶこと、身に付けることをもう少し明確にしてほしい」「子供の声をもっと聞いてほしい」などの意見が出された。


 こうした意見を踏まえ論点整理を策定すること、修文は各WG主査に一任することが委員に提案され、了承された。論点整理は第12期中央教育審議会に引き継がれる。


2月20日の義務教育WG等の合同会議

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