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記事2023年2月13日 2603号 (1面) 
第5回義務教育の在り方WG開く
学校が果たす役割などの視点でまとめた
論点整理素案を提案、審議

 文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会・個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会の第5回義務教育の在り方ワーキンググループ(WG)(座長=奈須正裕・上智大学教授)が2月1日にオンラインで開催された。同WGは社会変化の急速な変化、それに伴う新たな教育の可能性を見据え、学校の学びの基本的な在り方を整理し、1人1台端末の活用を含めた多様で柔軟な学びの姿を明確にするために設けられた。WGでは、(1)子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割、(2)全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現、(3)個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じた主体的・対話的で深い学びの具体化、(4)多様性と包摂性に基づく学校文化の醸成、(5)学びにおけるオンラインの活用、(6)学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障、の6点ついて議論を重ねてきた。


 今回の会議では、これまでの論議をまとめた論点整理素案が文科省から提案され、上記6点の視点ごとに課題や論点が整理され示された。


 その中では、「全人的な教育を重視する日本型学校教育は過度に同調圧力を高め、主体的に学ぶ意欲をそぐことになった」「教師は学びを子供に委ね、ファシリテーターとなることが重要」「教師が全てを担う学校運営の自前主義からの脱却が必要」「オンラインは今後当たり前のインフラとなり、登校の学びに加えてオンラインでの学びをどのように活用するか」「不登校児童生徒を支援する公と民の組織が協調して動いていない」などの課題が指摘された。


 それらに対して、日本型学校教育の強みと弱みを整理した上で、義務教育として何を継承していくべきか、主体的に学び続けるためのICTの活用を妨げるものは何か、学校に多様な人材が参画できるための工夫、不登校特例校、学校内別室、フリースクールなどのさまざまな学びの場が有機的に連携する姿など、不登校児童生徒に対するモデルを国が提示する、などの論点を示している。論点整理素案に対して委員からは、「教育の内容や提供方法は社会の変化に応じて変わるもので、現在ではICTが学習インフラとなったことに対応し、さまざまな面で柔軟化が必要」、「義務教育の意義を、社会を支える人材育成の面だけでなく、共生社会、持続可能な社会の担い手となる部分も強調したい」、「フリースクールなど学校を十分に代替できる民間セクターを学校外と切り捨ててよいか。その質の保証を考えながら、学校の再定義を考えたい」などの意見があった。また「学びに困難のある子供を無気力など個人に帰する個人モデルではなく、学校や社会の課題から考える社会モデルで捉えてほしい」という要望も出された。個別最適な学びと協働的な学びを推進する学校の事例を横展開することが論点とされていることに対して、「質的なエビデンスで成果の普及を図ることも必要。それには研究者などの協力が必要」との意見が聞かれた。2月20日の次回は特別部会と高等学校の在り方WGと合同で実施する。

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