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記事2023年2月13日 2603号 (1面) 
第109回大学院部会を開催
専門職大学院設置基準一部改正了解
人社系大学院の改革引き続き議論へ

 中央教育審議会大学分科会の第109回大学院部会(部会長=湊長博・京都大学総長)が2月6日、オンラインで開催された。この日の議題は(1)専門職大学院設置基準の一部改正、(2)大学院部会第11期中における大学院関係施策の動向等について。そのほか人文科学・社会科学系の学部学生における大学院進学の意向調査のアンケート項目(素案)等について意見を出し合った。


 このうち、(1)の専門職大学院設置基準の一部改正に関しては、昨年12月19日の中教審答申が「学部学生が教職大学院の授業科目を先取り履修した場合に、当該先取り履修した単位数等を勘案して、教職大学院入学後の在学年限を短縮できる制度改正を検討することが必要」と提言したのを受けて、この日の部会では、「教職大学院入学前に科目等履修生として大学院の単位を修得した場合には、当該単位修得時の大学院入学資格の有無にかかわらず、当該単位数、その取得に要した期間その他を勘案して在学期間の短縮を可能とする」との改正省令案の概要が事務局(文部科学省)から提示され、委員による意見交換の後、了解された。


 現行では、教職大学院に入学する前に大学院において履修し修得した単位に関しては、大学院入学資格を有さない学部学生が科目等履修生として単位を修得した場合、当該修業年限の通算を行うことはできないが、令和3年10月には高校生を含む大学入学資格を有さない者が科目等履修生として修得した単位についても大学入学後の単位認定のみならず、当該単位を修得した大学に入学した場合に、修業年限の通算を可能とするための制度改正が行われている。


 昨年12月19日の中教審答申に盛り込まれている「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等に関する改革工程表(案)では、令和5年度に設置基準等の改正を行い、検討を行った後、各教員養成大学・学部における取り組みを実施するとしている。またこうした取り扱いを教職大学院以外でどう考えるかについて湊部会長は、今後の検討課題としたが、委員からは、「会計職大学院についても前向きに検討して適用してほしい」との発言があった。


 次いで、(2)の大学院部会第11期中における大学院関係施策の動向等では、同部会がこの2年間に取り組んできた事項と今後の課題を簡潔に整理した内容が事務局から説明された。その中では、人文科学・社会科学系の大学院の在り方、大学院におけるリカレント教育、大学設置基準改正に伴う大学院設置基準等の改正、卓越大学院プログラムの状況、その他、博士後期課程学生の処遇向上と研究環境確保(大学フェローシップ創設事業)、ジョブ型研究インターンシップ、大学院段階における「授業料後払い」制度について記述している。


 特に人社系大学院教育改革に関して同部会では昨年8月3日に改革の方向性をまとめた「中間とりまとめ」を策定したことや、関連する令和5年度文科省予算案の説明や別途会議で進められてきた制度改正の詳細等が報告された。また人社系大学院教育改革に関しては、次期中教審で「最終とりまとめ」に向けて議論を深める際に参考とする学部学生を対象とした大学院に進学に関する意識調査のアンケート項目が検討され、委員からは、「人類学の視点でコンサルタントをしている人がいる。若い世代では社会に役立ちたいと思っている人が多い。未来志向の設問があってもいい」「アンケートの回収率が上がるように文科省は大学に強く要請してほしい」などさまざま要望等が出された。人社系大学院改革に関しては、第12期の中で人社系大学院の好事例に関するヒアリング、産業界からのヒアリングをまとめて行うことにしている。


 この日の委員による意見交換でも人社系大学院の重要性が企業等でも認識されつつあることや、理系、人社系共に高度化する必要があるが、互いの垣根は下げていく必要があること、大学院の教員の意識改革、学生を社会に出していくとの意識が重要だとの意見などが聞かれた。また社会のニーズに合わせて自分たちの学問を変えていくことでニーズが生まれる、といった意見もあった。


 このほか、「専門職大学院の博士課程の創設をそろそろ検討してほしい。キャリアパスはある」との意見も聞かれた。

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