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記事2023年11月13日 2629号 (1面) 
令和5年度補正予算案閣議決定
文科省1・3兆円の予算計上
高校DX加速化推進事業に100億円

政府は11月10日、定額減税による還元策とその関連経費も含め総額17兆円台前半程度の令和5年度補正予算案を閣議決定した。同月2日に閣議決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策〜日本経済の新たなステージに向けて〜」を実現するための予算案。このうち文部科学省関連予算の規模は、総額約1兆2912億円(一部デジタル庁計上予算を含む)で、(1)持続的賃上げ、所得向上と地方の成長の実現、(2)成長力の強化・高度化に資する国内投資の促進、(3)人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動・推進、(4)国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心の確保が4本柱。


このうち(2)では、私立学校施設・設備の整備の推進に109億円を計上している。内訳は、まず耐震化等の促進が45億円(耐震改築事業24億円、耐震補強事業15億円、その他耐震対策事業6億円)で、大学等で95・6%、高校等で93・8%の私立学校の耐震化の早期完了は喫緊の課題としている。また熱中症対策、エコ改修、防犯対策等を目的とした私立学校施設環境改善整備等が54億円、私立小中学校等における1人1台情報端末の整備(6・4億円)を含む私立大学等教育研究装置・設備が10億円となっている。この私立小中学校等の情報端末の整備の補助率が従来の1/2以内から2/3以内に嵩上げされている。


また(2)のカテゴリーでは、医師養成課程充実のための教育環境整備を進める高度医療人材養成事業に140億円が計上されている。新型コロナが5類感染症に位置付けられ診療参加型臨床実習を実質化できる状況となってきたことから、臨床実習環境の更なる充実を図る。支援対象は医学部を置く国公私立大学。


 (3)のカテゴリーでは、GIGAスクール構想の推進〜1人1台端末の着実な更新〜に2661億円を計上している。


このうち2643億円が公立小・中学校等の端末整備向けで、都道府県に基金(5年間)を造成し、当面令和7年度までの更新分(約7割)に必要な経費を計上、都道府県を中心とした共同調達など計画的・効率的な端末整備を進める。文科省が都道府県に基金造成経費を交付、都道府県の基金から市町村に補助金を交付する仕組み。補助基準額は1台5・5万円、予備機は15%以内、補助率は2/3、児童生徒全員分の端末(予備機含む)が補助対象。残りの18億円が国私立小・中学校、日本人学校等の端末整備予算、補助基準額は公立と同額、予備機も同じ15%以内、補助率は国立が10/10、私立、日本人学校等は2/3。  


また、高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に100億円が計上されている。大学教育段階でデジタル・理数分野への学部転換の取り組みが進む中で、その政策効果を最大限発揮するためにも高校段階でのデジタル等成長分野を支える人材育成の抜本的強化が必要との方針から、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的な探究的な学びを強化する学校などに対して、必要な環境整備経費を支援するもの。支援対象は公私立高等学校等。補助上限額は1校当たり1千万円で、千校程度を想定している。補助率は定額補助。文科省から学校設置者に直接補助する仕組み。


高校等に求める取り組みとしては、情報Uや数学U・B、数学V・C等の履修推進(遠隔授業の活用を含む)、情報・数学等を重視した学科への転換やコースの設置、デジタルものづくりなど、生徒の興味関心を高めるデジタル課外活動の促進、地方の小規模校において従来開設されていない理数系科目(数学V等)の遠隔授業による実施、高大接続の強化や多面的な高校入試の実施、専門高校において、大学等と連携したより高度な専門教科指導の実施、実践的な学びを評価する総合選抜の実施等高大接続の強化などの例を示している。


支援対象例はICT機器整備(ハイスペックPC、3Dプリンター、動画・画像生成ソフト等)、遠隔授業用を含む通信機器整備、理数教育設備整備、専門高校の高度な実習設備整備、専門人材派遣業務委託費等。


 そのほか不登校児童生徒等の早期発見・早期支援事業に14億円を計上している。この事業は、教育支援センターの総合的拠点機能形成、1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の導入推進、不登校・いじめ対策等の効果的な活用の推進の三つの事業で構成されるが、心の健康観察事業に関しては委託先である都道府県・政令指定都市等の中の都道府県から私立学校が再委託を受けることができる。


 (4)のカテゴリーでは、私立幼稚園の施設整備支援事業に23億円が計上されている。事業内容は耐震化事業、特別防犯対策事業、改築事業、エコ改修事業、内部改修事業等で、補助割合は国が1/3、事業者が2/3。ただし地震による倒壊等の危険性の高い施設の耐震補強、特別防犯対策は国が1/2、事業者が1/2。対象経費は工事費、実施設計費、耐震診断等。


 そのほか私立学校施設の災害復旧に6億円を計上している。今年5月28日から7月20日までの間の豪雨及び防風雨により被災した私立学校施設の早期復旧のための予算。補助率は災害復旧に要する経費の1/2等。この補助に関連して私立学校教育研究活動復旧費(2億円)、私立大学等の学生に対する授業料減免等(0・5億円)も計上されている。

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