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記事2022年9月23日 2590号 (3面)
高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議初会合を開催
年内に中間所得層への支援策等を策定
政府の教育未来創造会議の「第1次提言」(今年5月10日)や「骨太の方針2022」(6月7日閣議決定)を受けて、文部科学省は8月24日、「高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議」の初会合を開いた。委員は7人、福原紀彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長が座長。
高等教育の修学支援新制度は、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の高校生に高等教育の進学の機会を保障する観点から令和2年度から始まった制度。制度開始前は40・4%(2018年度)だった住民税非課税世帯の高等教育への進学率(全世帯進学率は81・5%)は、授業料減免と給付型奨学金により、2020年度には51・2%に、2021年度には54・3%に上昇するなど成果を挙げている。
一方、制度の対象外となった所得中間層への支援が当初から課題となっていた。こうした状況の中で中間所得層のうち多子世帯、理工農系の学生について経済的に厳しいとして支援していくとの方針が教育未来創造会議等で打ち出されたのを受けて、同検討会議では多子世帯の定義、理工系および農学系の範囲、同制度を活用して進学できる大学等の機関要件に文理横断による総合知創出、学生を保護する観点から定員充足率が収容定員の8割以上とするなどの要件を検討していく。
9月26日に予定されている第2回検討会議では機関要件の厳格化を集中討議し、第3回では中間所得層への支援強化の在り方を検討、第4回では関係者から意見聴取を行い、第5回で審議結果を取りまとめる予定。検討会議とは別に修学支援新制度については制度創設から4年後に見直しを行うことが法律に盛り込まれている。
8月24日の初会合では、委員から所得中間層の中で支援対象を理工・農学系に絞っている疑問や、その理由に授業料等の負担が大きいことを挙げていることへの疑問(医学等も負担が大きい)、また“総合知”についてイメージがはっきりしないといった意見が委員から出された。年内に審議結果をまとめるため今後は、論点を絞り議論を進めていく方針だが、定員充足率8割以上との機関要件についてはその具体的中身等でかなりの議論を呼びそうだ。 |
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