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記事2022年8月3日 2586号 (1面) 
中教審第136回初中分科会開く
更新制廃止にともなう研修等記録作成関連規定案等報告
同僚同士の語り合い等奨励求める意見も

 中央教育審議会初等中等教育分科会(分科会長=荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長)は7月25日、WEB会議方式で第136回会議を開き、(1)教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律等(2)「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議経過報告等(3)次期教育振興基本計画(4)不登校に関する調査研究協力者会議報告書(5)部活動の地域移行(6)個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会の審議状況ついて事務局(文部科学省)から審議の進捗状況等に関して説明を受け、委員間で意見交換を行った。


 このうち議題(1)と(2)に関しては、一括して文科省から説明があった。


 その中では今年の通常国会で成立した教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律の概要が説明され、教員免許更新制は今年の7月1日に廃止され、公立学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成並びに資質の向上に関する指導及び助言等に関する規定の整備に関しては、令和5年4月1日の施行に向けて、独立行政法人教職員支援機構が研修受講履歴記録システム(仮称)の構築・運用に参画し、学習コンテンツの質保証、ワンストップ的に情報を集約しつつ、適切に整理・提供するプラットフォーム、学びの成果を可視化するための証明の構築・運用を進めており、文科省としては公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の作成に関する指針改正案の策定を進めており、パブコメを経て、大臣告示として決定していきたいとし、改正案のポイントを説明した。また研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドラインも策定すると報告した。その中では研修の記録を目的としないこと、簡素化に留意することなどを強調した。


 また検討中の指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドライン改定案のうちアップデートされた箇所、例えば「指導が不適切である」教諭等の把握及び報告・申請では、校長は早期に教育委員会と情報共有を図るとともに、教育委員会は学校任せにせず、積極的に関与。また教育委員会においては、弁護士等への相談体制の整備が望まれる、としている。教員の指導力の維持・向上のための取り組みでは、「指導が不適切である」教諭等には至らない「指導に課題がある」教諭等について、指導が不適切な状態に陥らないよう、校長等や指導主事等による指導助言・個別計画書の作成や研修奨励、校内研修の工夫、学校内または教育センターにおける集中的な研修の実施等による未然防止・早期対応が加えられている。


 続けて文科省から中教審の教師の在り方特別部会審議経過報告(素案)の概要が説明され、6月27日の特別部会に素案が提出され、教職課程等の見直しを進めていること、特別部会を中心に年内をめどに審議経過報告をまとめる予定であること、続けて特別支援教育を担う教師の養成に係る方策が説明された。こうした文科省による報告に委員からは、「更新制ではやらされ感があった。同僚同士の語り合い、助言を奨励すべきだ」「社会人の雇用、雇用の安定が必要。特別支援教育に習熟している校長が少ない。校長になるための必須条件にすべきだ」「記録自体を目的にしないことが重要。助言者は上からではなく、伴走者となってほしい」「教員不足が一番の課題。教員になってもらうためには教育実習、インターンシップを大学在学中の早い段階で受けてもらうことが教員へのモチベーション上げる」「教員の抑圧的縦関係が子供との関係に影響するとよく聞く。幼稚園では研修の俯瞰図を示している。今後出来上がってくるナビの研修の履歴の中に私立学校の教員が入っていけるのか、我々が既に持っている研修のシステムと国のシステムとの関係性について教えていただきたい」などの意見が出された。


 私学もサポート


 これに対して文科省は、「公立学校の教員を対象としたものだが、今後開発するプラットフォームについては私立学校の先生方にも活用できるようにし、私立学校に対しても国としてサポートしていきたい」と語った。


 続けて文科省から議題(3)、(4)、(5)に関する議論の進捗状況等が報告され、このうち、運動部活動の地域移行に関しては、令和3年度地域運動部活動推進事業で102市区町村に実践研究に取り組んでもらっていること、それは多様な主体による取り組みで、国としては何かモデルを示すより事例集を作成し広めていく方針だ、とした。公立中学校等が対象。文化部活動の地域移行に関しては運動部とは異なり文化部独自の部分が説明された。


 こうした文科省による説明に委員からは、「部活の居場所に救われている子もいる。1980年代の荒れた学校の再現を大変危惧している」「部活動地域移行では障害ある子供の地域の受け皿がない」「部活動指導で教員が退職していった。持続可能性の面で限界に達している。中学校教育のトランスフォーメーションが必要だ」「不登校の原因には家庭が関係しているもの多い。教育振興基本計画には素晴らしいことが書いてあるが、人為的、自然的(災害)の危機にどう対応するかが大事だ」などの意見が聞かれた。


 議題(6)では新たに教科書・教材・ソフトウエアの在り方WGが設けられ、今年夏ごろを目途に中間的なとりまとめが行われる予定などが文科省から報告された。


7月25日の初中分科会

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