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記事2022年7月3日 2583号 (1面) 
中教審教師の在り方特別部会等合同会議開催
更新制に代わる受講奨励に関するガイドライン案審議了承
委員の懸念で一部文言等修正へ

 中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第7回)・基本問題小委員会(第7回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第130回)合同会議が6月27日、オンラインで開催された。会議では、(1)公立の小学校等の校長および教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案、(2)研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案、(3)令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会における審議経過報告(素案)、(4)特別支援教育を担う教師の養成に係る方策が審議された。


 このうち(1)と(2)は今年の通常国会での教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案の成立(公立の小学校等の校長および教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成ならびに資質の向上に関する指導および助言等に関する規定の整備、普通免許状および特別免許状の更新制に関する規定の削除)を受けて改正されるもの。文部科学省から指針改正案やガイドライン案が説明された。


  このうちガイドライン案が細かな研修履歴の記録の内容や研修履歴の記録の方法、記録の時期、研修受講に課題のある教師への対応(期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合)、「指導に課題のある」教員に対する研修等が盛り込まれていることから、複数の委員から現場の教員に管理システムと受け取られかねないとの懸念する意見が出され、また「現場の声を聞いて設計してほしい」「上意下達ではなく、学び合いの研修、いろいろな先生が講師になるのがいい」などの意見も聞かれた。


 最終的にはこの(1)と(2)はパブリックコメントに付す必要があることなどから、この日の合同会議の進行を務めた渡邉光一郎・教師の在り方特別部会長が委員の意見を受けて修文を検討すること、特に厳しい要素で終わるガイドラインの書きぶりの修正が必要なこと、最後に教師は学び続ける存在で記録管理が目的ではなく新たな学びに向かう手段であること、記録項目に関しては簡素化が必要なこと、働き方改革が前提なこと、地域の応じた仕組みが必要なこと等をガイドラインの最後に付け加えることを条件に修文について部会長への一任を要請、委員から了承された。


 (3)に関しては、教師の在り方特別部会が年内にもまとめる答申の素案で、総論は「令和の日本型学校教育」を担う教師および教職員集団の姿、子供たちの多様化と社会の変化、教員養成、免許、採用、研修に関する制度および実態で構成。また各論のうち養成では、教師に求められる基礎的な資質能力と教職課程の見直し、特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用、教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化、免許では特別免許状制度、教員資格認定試験、多様な専門性を持つ社会人を積極的に採用しやすくするような環境整備を、採用では、教職への志望動機に関する実態把握、人物重視の多面的な採用選考、教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方、研修では新たな教師の学びの姿の実現に向けた体制整備、学校管理職(特に校長)に求められる資質能力の明確化が記述されている。


 こうした各論部分が今後の検討課題とされていたが、教師の在り方特別部会の基本問題小委員会では各論部分の議論が先行していることもあり、今後、基本問題小委員会での審議内容も審議経過報告に盛り込んだ上で、文科大臣からの諮問に沿って審議経過報告を再整理する予定。(4)については初等中等教育局特別支援教育課長から中教審での審議と並行して特別支援教育を担う教師の在り方等に関する検討会議が特別支援教育を担う質の高い教職員集団の在り方や特別支援学校教諭免許状、教職課程コアカリキュラムの在り方の検討を行い、報告を取りまとめ、パブリックコメントにかけていることなどが説明された。委員からは教員不足の中で特別支援教育の担当者となった専門外の教員が相談できる伴走者を充実すべきだとの意見もあったが、6月末でパブコメも終わる段階のため、十分な議論は行われなかった。


6月27日の教員関係合同会議

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