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記事2022年7月23日 2585号 (1面) 
中教審第2回大学振興部会開く
文理横断・融合教育等でヒアリング
東洋大、大正大等から聴取

 中央教育審議会大学分科会大学振興部会(部会長=永田恭介・筑波大学長)は7月11日、第2回会議をWEB会議方式で開催した。この日は、文理横断・文理融合教育等についてヒアリングが行われ、九州大学、金沢大学、東洋大学、大正大学の4大学が取り組み状況等を報告した。


 最初に、「九州大学共創学部 コンセプト・カリキュラム・成果〜文理横断・融合教育の視点から〜」と題して鏑木政彦・共創学部長が報告した。


 共創学部は2018年4月に開設された。養成する人材像は、取り組むべき課題を設定、企画構想力(デザイン力)をもって課題解決の方策を提言できる人材。教育は専門エリアとエリア横断等があり、専門エリアは、人間・生命、人と社会、国家と地域、地球・環境の四つ。エリア横断等は、データサイエンス、科学論、デザイン思考、物理・数学、PBL/TBL(チーム基盤型学習)、日本語教育。


 教育の特徴は、徹底した語学教育、課題解決型のカリキュラム、実践的な協働学修、海外大学等への留学、留学生とのクラス・シェアである。


 共通基礎科目は文理横断で設定。授業は英語と日本語による授業を用意している。課題は、専門性の体系的な学び等で、現在、カリキュラム改革に取り組んでいるなどと話した。


 続いて「金沢大学における『文理横断・文理融合教育』の取り組み」と題して、片岡邦重・学長補佐が報告した。


 同大学では2008年度に学部学科から学域・学類制へ移行、2016年度に共通教育(リベラルアーツ)科目を一新し全学統一のグローバルスタンダート科目に集約。2020年度にSTEAM人材育成を目指すモデル事業を策定した。


 その中で、(1)「融合学域先導学類」の新設、(2)STEAM教育の必修化と専門教育でのリベラルアーツ教育の拡充、(3)全学生を対象に先導STEAM人材育成プログラムの開設、(4)教学マネジメントセンターの設置を行った。2021年度には入試改革を断行。後期日程の廃止など10の改革を行ったなどと話した。


 次に「東洋大学経済学部経済学科における数学必須入試」と題して児玉俊介教授が報告した。


 2022年度入試では、数学必須入試の受験者数は前年より増加し、一般選抜受験者総数の49・8%となった。


 1990年代までは私立文系学部としては、標準的な3科目入試だった。数学の苦手な学生を前提にカリキュラムを作ったが限界も顕在化。一層の効果を上げるため、2011年度から数学を加えた入試を少しずつ導入していった。一気に展開しなかったのは志願者の大幅減が予想されからだ。しかし数学必須方式入試を拡大しても質を維持しつつ入学者数を充足できることが分かり、2016年度には学内入試に数学必須の4教科型を、2018年度にはセンター試験利用入試に数学必須の5教科型を入れた。


 課題は、推薦入試入学者の数学力強化と、向上した学力に対応した教育内容・方法の見直しだなどと述べた。


 最後に、「大正大学の共通教育科目について 第T類科目:統合型教養教育(探究科目)・データサイエンス科目」と題し、神達知純・副学長と前田長子・地域創生学部教授が発表した。


 同大学では「新時代の地域のあり方を構想する地域戦略人材育成事業」に取り組んでおり、令和3年度より全1年生に第T類科目として探究科目((1)人間の探究、(2)社会の探究、(3)自然の探究)とデータサイエンス教育(1・2年次)を必修化した。


 令和4年度から第T類科目の「リーダーシップ」、第U類科目の「学融合ゼミナール」、第V類科目の「アントレプレナーシップ養成教育科目」を全学的に推進している。特色ある取り組みとしては、チュートリアル教育でのチームティーチングや、産官学連携による実践的学修がある。


 課題は、入学時のITリテラシー格差の見える化と対策、伸長した能力と伸長しなかった能力の詳細把握と対応策だ、などと報告した。

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