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記事2022年4月3日 2574号 (1面) 
学校法人制度改革特別委員会報告書を公表
建設的な協働と相互けん制
学校法人の実情にも一定の配慮求める

 学校法人の沿革や多様性にも配慮しつつ、社会の要請にも応え得る私立学校のガバナンス改革を今年1月から検討してきた大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の学校法人制度改革特別委員会(福原紀彦主査)は3月29日、報告書「学校法人制度改革の具体的方策について」を公表した。最終の第6回委員会(3月22日)でほぼ合意となった報告書案を当日の委員の意見等に沿って一部修文したもの。


 総論部分の「学校法人の機関構造設計の基本的な視点と規律上の工夫」では、執行と監視・監督の役割の明確化・分離の考え方を基に、理事・理事会、監事および評議員会のそれぞれの権限を明確に整理・分配し、私立学校の特性に応じた形での「建設的な協働と相互けん制」を確立する必要性を強調。ガバナンス不全の構造的リスクを低減する観点から評議員会の地位や理事・監事・評議員の選出の在り方を改善すべき、としている。


 一方で所轄庁の違いや法人の規模を考慮し、寄附行為による自治を一定の範囲で許容するなど、学校法人の実情にも配慮すべきと指摘している。


 現状の機関構造からの変更については、負担の回避・軽減と継続性に鑑み知事所轄法人については慎重に措置し、経過措置の検討を求めている。


 その上で学校法人改革の具体的方策に関しては、法人の基礎的変更(任意解散・合併、それに準じる程度の寄附行為の変更)については新たに評議員会の決議が必要とし、基礎的変更に関わらない業務事項は現行制度を維持するとしている。知事所轄法人については現行制度の維持を求めている。


 理事の選任は評議員会その他の機関を選任機関として寄附行為上に明確化、評議員会以外の機関による選任の場合は評議員会からの意見聴取を義務付けている。理事の任期は4年を上限に監事・評議員を超えない範囲で寄附行為で定め、理事の客観的な解任事由(法令違反、職務義務違反、心身の故障等)を法定。


 評議員の選任については、評議員会を選任機関として明確化し、理事・理事会による選任に一定の上限を設定。評議員に求める資格・能力の要件を明確化するよう求めている。理事と評議員の兼職は禁止し、評議員の下限定数を引き下げる。評議員となれる役員近親者、教職員、卒業生等、属性に応じた上限割合を設けるべきだとしている。評議員の任期は6年が上限。


 監事は評議員会が選任、役員近親者の監事就任は禁止。監事の客観的解任事由を法定。役員等による特別背任、目的外の投機取引、贈収賄等の刑事罰を私立学校法に新設。寄附行為の名称は維持するよう求めている。

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