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記事2022年4月3日 2574号 (1面) 
私大等経常費補助金交付状況を公表
855校に2925億円余交付
1校当たり補助金前年度比減額

 日本私立学校振興・共済事業団(清家篤理事長)はこのほど国の私立大学等経常費補助金の令和3年度交付状況を公表した。それによると同補助金の交付を受けた学校は、補助対象となる大学、短期大学、高等専門学校の計928校中855校で、交付総額は前年度と比べ約153億円少ない2925億496万6千円だった。令和3年度の交付を巡っては日本大学・同短期大学部が理事長の刑事処分や学校法人の管理運営不適正により補助金の不交付措置(令和2年度は約91億円の補助金を受けていた)を受けるなどした。


 同補助金は教職員数や学生数等に所定の単価を乗じて算出した基準額を教育研究条件に応じ傾斜配分する一般補助と教育研究に関する取り組みに応じて配分する特別補助がある。私立大学等経常費補助金2925億496万6千円の内訳は一般補助が2703億6116万6千円、特別補助が221億4380万円。


 特別補助221億4380万円の中身を見ると、最も多いのが「大学院等の機能の高度化」で655校に計130億9039万1千円が交付されており、次いで多かったのは「成長力強化に貢献する質の高い教育」で数理・データサイエンス・AI教育の充実が新規支援事項となっている。交付校は778校、交付額は計64億4971万5千円。そのほかは、「社会人の組織的な受け入れ」が3億6401万1千円(166校)、「大学等の国際交流の基盤整備」が19億2388万3千円(128校)、東日本大震災からの復興支援が3億1580万円(9校)だった。


 学校種別に補助金交付状況を見ると、大学は581校に2769億3248万9千円、短期大学は272校に153億5360万円、高専は2校に2億1887万7千円が交付された。


 同補助金の交付額を1校当たりに換算すると、大学は4億7664万8千円、短大は5644万7千円、高専は1億943万9千円。また学生1人当たりでは、平均額は前年度から3千円低下し、14万円となった。


  一方、さまざまな事由で補助金の交付を受けなかった大学等が73校あった。不交付の事由は、「申請なし」が26校、「未完成」が20校(※未完成とは設置後完成年度(修業年限)を超えていない学校のこと。そもそも完成年度を迎えるまで補助金は交付されない)、「募集停止」が19校、「管理運営不適正」が4校、「他省庁補助」が2校(日本社会事業大学、産業医科大学)、「その他」(文部科学省が直接補助:放送大学、沖縄科学技術大学院大学)が2校。これとは別に前年度以前に不交付措置または減額措置が講じられ、令和3年度に措置が緩和(25%、50%、75%の減額措置)された大学が3校あった。


 学校別の交付額も公表されており、大学のトップ5は、(1)早稲田大学、(2)慶應義塾大学、(3)昭和大学、(4)立命館大学、(5)東海大学。短期大学のトップ5は、(1)仙台青葉学院短期大学、(2)大阪成蹊短期大学、(3)郡山女子大学短期大学部、(4)鳥取短期大学、(5)長崎短期大学。高専は、(1)近畿大学工業高等専門学校、(2)サレジオ工業高等専門学校。


 交付額は学校の規模や教育研究の状況等で大きな開きがあり、大学トップの早稲田大学の交付額は約85億円だが、最も交付額の少なかった大学は約200万円だった。短大のトップの仙台青葉学院短期大学の交付額は2億円弱だが、最も少ない短大は約430万円だった。

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