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記事2022年3月23日 2573号 (1面) 
中教審大学分科会質保証システム部会
「審議まとめ」案を了承
学修者本位の大学教育実現、社会に開かれた質保証の実現へ

 中央教育審議会大学分科会の第14回質保証システム部会(吉岡知哉部会長=独立行政法人日本学生支援機構理事長)が3月18日にオンラインで開催され、審議まとめ案「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」について審議し、委員による意見交換の末、審議まとめとして了承した。この日の委員発言を受けての修文は吉岡部会長に一任することとなった。


 質保証システム部会は令和2年7月の初会合以降、2年近く議論を重ね今回が最終回。審議まとめは3月28日の大学分科会に報告される。


 審議まとめでは改善・充実の方向性として二つの検討方針、四つの視座を設けている。検討方針は、学修者本位の大学教育の実現、社会に開かれた質保証の実現。視座としては、客観性の確保、透明性の確保、先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)、厳格性の担保を掲げている。また質保証システムで保証すべき「質」については、教育研究の質、学生の学びの質と水準とともに、研究環境の整備や充実等についても一定程度確認する必要があるとしている。


 その上で(1)大学設置基準・設置認可審査に関しては、「一の大学に限り」という専任教員の概念を「基幹教員」(仮称)と改め、設置基準上最低限必要な教員の数の算定に当たり一定以上の授業科目を担当する常勤以外の教員について一定の範囲まで算入を認める、としている。ただし教育研究の質の低下を招かないよう制度化に当たっては留意が必要としている。


 また、(2)認証評価制度に関しては、内部質保証の体制・取り組みが特に優れた大学への次回評価の弾力的措置や不適合の大学の受審期間を短縮化する(例:3年)などを求めている。


 (3)情報公開に関しては、「教学マネジメント指針」を踏まえ、認証評価において大学の情報公表の取り組みを確認すること、大学入学者選抜に関すること等を学校教育法施行規則に規定する各大学が公表すべき項目に追加すること等を求めている。


 (4)その他の重要な論点としては、遠隔授業に関するガイドラインの策定、質保証を担う人材の資質能力を向上させる観点から、SD・FDの取り組み等の把握・周知、基盤的経費の配分や設置認可申請等における定員管理に係る取り扱いについて現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは、収容定員に基づく複数年度の算定へと改める(成績管理の厳格化・明確化と両立が図られるよう留意する)などを提言している。審議まとめの最後には別添参考資料として、現行制度において、各大学の運用等で実施可能な取り組み例が提示されており、学位の種類の変更や学位の分野(文学関係等)の追加を伴わない者の場合、設置認可審査を経て各大学に認められた分野の範囲内で各大学の判断で機動的に融合領域を含め、新たな学位プログラムの実施(学部等の設置含む)が可能なことなどを紹介している。


 こうした改善・充実策に関して委員からは、異論は聞かれなかったが、「現行制度でできることは多い。今できることの周知、理解を進めてほしい」「今回、設置基準はかなり整理できた。認可審査でどうするのか」「情報公表や認証評価はやらされ感があったが、個性発揮に重要な事。積極的な対応が必要」「客観的な基準を作ったとき、内規なしに評価できるのか」「学位名称を国際通用性のあるものに変えていかなければいけない」などの意見が出された。


大学分科会第14回質保証システム部会

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