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記事2022年2月23日 2570号 (1面) 
文化部活動の地域移行に関する検討会議
令和5年度以降 休日の部活動地域移行目指して
課題や環境整備等検討

 文化庁に「文化部活動の地域移行に関する検討会議」が今年1月14日に設置され、第1回会議が2月16日、オンラインと対面のハイブリッド方式で開催された。


 教員の働き方改革(勤務時間の削減等)実施に向けた部活動の地域への移行に関しては、スポーツ庁で昨年10月7日に「運動部活動の地域移行に関する検討会議」が始動、今年2月28日には第4回会議を開く予定など運動部活動関係の審議が先行しているが、文化庁の検討会議は、合唱や吹奏楽など文化系の部活についてスポーツ分野とは異なる状況や課題もあることから、文化部活動固有の課題がある項目を洗い出し、検討に当たっては文化庁が令和2年度に行った「地域文化倶楽部(仮称)の創設に向けた調査研究」も参考にしながら検討を進める方針。今年7月を目途に「提言」をまとめる。 


 座長には北山敦康・静岡大学名誉教授が就任。委員(計12人)にはそのほか大学教授ら学識経験者、一般社団法人全日本吹奏楽連盟理事長、公益社団法人全国高等学校文化連盟事務局長、全国中学校文化連盟理事長、一般社団法人全日本合唱連盟副理事長等が参加している。


 2月16日の初会合では、冒頭、都倉俊一・文化庁長官があいさつし、教員の働き方改革に取り組む必要性や、平成31年の中央教育審議会答申を踏まえ、まずは令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行をスポーツ、文化ともに進めていくことなどを説明。 続いて文化庁の所昌弘・参事官(芸術文化担当)付学校芸術教育室長が検討事項案や検討スケジュール案、文化部活動改革の目的・目標等を説明した。


 このうち検討事項案については、文化部活動に所属していない生徒も含め、中学生にふさわしい文化芸術に親しむ環境はどのようなものが考えられるか、文化部活動の地域移行で、地域における文化芸術の振興の観点から、どのような効果が期待できるか、地域における文化芸術に親しむ環境の整備、着実な地域移行に向けて、地域移行前の段階から活動内容や活動時間等についてどのように改善すべきか、教員の文化部活動の指導や引率の体制はどのようにしていくべきか、特に部活動の指導を望まない教師が部活動に従事する必要のない体制をどのようにしていくべきか等を列挙。


 そのほか地域への移行の在り方、文化部活動の地域での受け皿、指導者、施設、大会、会費、指導者や参加者が加入する保険、関連制度の見直し(学習指導要領における部活動に係る規定や入学試験、教員採用における位置づけ等)等を挙げている。


 今回の部活動の地域への移行に向けた改革は、私立中学・高校にストレートに関わる問題ではないが、公立校の改革に足並みを揃えるよう同調圧力が働く可能性もあり、大会の在り方などは私立学校にもかかわる問題であり、教員の負担軽減の必要性は私立学校でも言われている問題。


 こうした提案に委員からは、「現場の声としては令和5年度からの実施は厳しい状況だと聞いている。あまり性急に進めないようにしてほしい。欧米型ではない、日本型の新しいモデルを作りたい」「地域部活動を実践して4年目。全国展開のためのNPO法人を立ち上げ、代表を務めているが、すべてを地域に移行するのは難しい。人、物、金をいかに整えるかが大切で、プロデュース力がないと地域展開は非常に難しい。残れるものは学校に残しつつやっていくべきだ。子供たちのニーズを丹念に調査したらいい」「地域への参加に関しては経済的に厳しい家庭の子供については支援の検討が必要。楽器の運搬が難しいので結局、学校内で地域部活を行うと教員が土日、施設管理のため学校に出てくることになる」「録音審査やライブ配信の導入も考えていきたい」「教員が何もやらないで地域に丸投げでは失敗する」「土日だけでも教員を部活から解放してやろうと行い、結果教員の志願率が上がった。そういう方向がいいと思う」「すべてバーチャルでは問題が多い」といった意見が相次いだ。


文化庁の第1回文化部活動の地域移行検討会議(2月16日)

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