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記事2022年2月13日 2569号 (1面) 
中教審第165回大学分科会開く
国際連携教育課程制度見直し
認証評価制度など検討

 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=永田恭介・筑波大学長)は2月9日、第165回会議をウェブ会議で開催し、ライブ配信した。


 議題は、国際連携教育課程制度(ジョイント・ディグリー)の見直し、質保証システム部会作業チームの審議経過、大学ファンド創設と大学研究力強化に向けた取り組み(世界と伍する研究大学の創設等)など。


 国際連携教育課程制度の見直しについては、大学設置基準等の一部改正を行い、同制度の緩和を行う。制度創設時は、その都度、大学設置・学校法人審議会での認可を得る必要があったが、7年経過して実績が蓄積されたことから、質を担保しつつ見直し、同教育課程の拡大につなげたいとしている。


 主な改正点は五つ。(1)定員の緩和。これまで設置大学の学部等の定員の2割を上限としていたものを撤廃する。ただし同教育課程の継続が困難な場合に備えて計画の策定その他学修の継続に必要な措置を講じること。(2)共同開設科目の履修で修得した単位の取り扱いについて、各連携外国大学・国際連携学科設置大学等(以下、連携大学等)における最低履修単位数には算入できない。また、連携大学等それぞれの最低履修単位数に達するまでは、各連携大学等の修得単位とすることはできない。(3)卒業要件として、連携大学等では例えば、大学の学士課程においては31単位以上を修得すること。(4)専任教員数と施設・設備については、(1)の定員の2割の廃止に伴い、母体となる学部等の一部を活用することを前提とした規定の見直しを行うこと。(5)国際連携学科を設ける二つ以上の大学は連携して教育研究を実施できる。その場合、そこで修得した単位について所要の読み替え規定を整備すること。また専任教員数、校地面積、校舎面積、施設・設備に係る規定を整備すること。


 この見直しの施行日は令和4年8月1日。


 制度の関連告示が2点改正される。一つは届出による設置が可能になること。ただし同教育課程全体が学位の種類や分野の変更を伴わないこと等の要件を満たす必要がある。二つ目は、教育課程の質の担保のため連携外国大学は、認証評価機関による認証評価を受けていることを要件とする。


 これに関して事務局から国際共同学位プログラム構築に関するガイドラインや、諸外国の認証評価機関も紹介された。


 第165回会議では、続いて質保証システム部会作業チームの審議経過について、同チームの議論の整理案が示された。整理案では、質保証システムのうち、(1)大学設置基準・設置認可審査について、学位プログラムの三つのポリシーに基づく編成、内部質保証の学位プログラムを基礎とした実施の明確化、専任教員の見直しなど、最低基準性を担保しつつ、大学教育の多様性・先進性を向上させていくものに見直す。(2)認証評価制度については、内部質保証の体制・取り組みが特に優れた大学は次回評価では評価項目や評価手法を簡素化するなど弾力的措置を取る。一方、認証評価で不適合の場合は、受審期間を短縮する。(3)情報公表について、現状は大学によって情報公表の取り組みに差があり、公表項目・手法が適当かを検討する。ベンチマークの提示や大学ポートレートの充実等を行う。(4)その他として、遠隔授業のガイドラインの策定や教育課程等にかかる特例制度の新設、定員管理は収容定員に基づく複数年度の算定へと改める、などを提言している。


 委員からは、認証評価について「内部質保証が優れている大学等は評価期間を伸ばしてはどうか」「事前規制を緩めるなら事後評価を厳しくし、機関認証も充実すべきだ」「不適格の大学が新しい学部作るとき認可しないことも議論すべきだ」との意見があった。このほか「専任教員の見直しで、さらに非正規化が進むのではないか」「単位を時間で管理する制度の見直しを始めるべきだ」などの意見が出た。 このほか大学ファンド創設と大学研究力強化に向けた取り組みについては、今秋に大学を公募、助成は令和6年度からとした。


第165回大学分科会

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