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記事2022年2月13日 2569号 (1面) 
第2回学校法人制度改革特別委員会開催
文科省が「主な論点」提示
私学団体も改めて意見表明

学校法人のガバナンス改革を検討している学校法人制度改革特別委員会(主査=福原紀彦・中央大学法科大学院教授・前学長、弁護士)の第2回会議が2月9日、オンラインで開かれ、ユーチューブで公開された。この日の議題は個別の論点についてで、文部科学省から議論を進めるに当たってのたたき台というべき「主な論点」が提示され、説明された。


「主な論点」はA4判で7ページ。文科省から説明が行われた。構成は(0)総論、(1)理事・理事会(理事会の権限等、選解任、適格基準、任期、その他)、(2)評議員・評議員会(評議員会の権限等、選解任、適格基準、任期・員数、評議員の義務・責任、その他)、(3)監事(選任・解任・適格基準、任期、その他)、(4)会計監査人、(5)内部統制システムの整備、(6)事業活動実態に関する情報開示、(7)その他(子法人の在り方、過料・刑事罰の在り方、寄附行為の名称)。


このうち総論では、▷所轄庁の介入に頼ることなく、法人の自律的な運営改善能力を高めていくことは重要ではないか、また、評議員会を「最高監督・議決機関」とはせず、理事会・監事において監視・監督の機能が健全に発揮されない場合に、評議員会が合理的な監督権限を段階的に行使できるようにするのはどうか、と提案。


理事の選解任等に関しては、▷寄附行為において評議員会その他の選任機関を定め、選解任に関する選任機関の責任を明確にするのはどうか、理事の解任で解任事由があるときには、評議員会が選任機関に解任を請求したり、監事が選任機関に意見陳述したりできるようにしてはどうか、解任請求後一定期間内に選任機関による解任がされないような場合、評議員による役員の解任の訴えを認めてはどうか、理事の任期については4年を上限に寄附行為で定め、かつ、監事・評議員の任期を超えないようにしてはどうか、との考えを示している。


評議員会の権限等に関しては、理事の選解任(評議員会が選任機関の場合)、理事の解任請求(評議員会以外の機関が選任機関の場合)、監事・会計監査人の選解任、寄附行為で定めた事項等を決議事項としてはどうか、意見陳述の対象のうち一定の重要事項(寄附行為の変更、任意解散、合併、中期的な計画の作成または変更、報酬等の支給の基準の策定または変更)を決議・承認等の対象とする特例を設けることをどう考えるか、理事の選任(評議員会以外の機関が選任機関の場合)について、評議員会が選任機関に意見陳述できるのはどうか、評議員会が監事に理事の法令違反等の行為の差止請求や理事の責任追及の訴訟提起の権限を行使するよう請求することができるのはどうか、としている。


評議員の選解任、適格基準に関しては、理事・理事会による評議員の選任・解任も人数の上限を設けた上で認めるとしてはどうか、理事と評議員の兼職は解消すべきかなどを、任期・員数に関しては、6年を上限に寄附行為で定め、理事の任期と同等以上としてはどうか、理事と評議員の兼職を解消する場合には、評議員の員数については理事の員数を超える数としてはどうか、評議員が不正行為や法令違反をした際に監事はその旨を所轄庁・理事会・評議員会に報告、そのような評議員は所轄庁による解任勧告の対象としてはどうか、などの改革案を提案している。 


次回以降、論点(3)以降が議論される。 


論点の(0)、(1)、(2)に関しては、各私学団体が文科省の論点について意見書を提出、代表が意見を述べた。その後、有識者から論点や私学団体の見解に対する意見等が述べられた。このうち私学団体からは「理事会と評議員会の相互協力・相互監視の機能が必要」「評議員を全て第三者にすることには反対。多様性のある構成にしてほしい」「不祥事ありきの牽制機能構築はよくない」「現行法でも有用に使える」「助成金カットや司直による断罪もある。大きく制度を改正する必要はない」「小規模な法人の実態に配慮してほしい」などの意見が出された。


一方、有識者からは「理事と評議員の兼職は説得力に欠ける。客観的な外観を整える必要がある」「先の学校法人ガバナンス改革会議の報告書は評議員会に万能権限を与えているわけではない」「役員人事の決め方の改革は避けて通れない」などの意見が出され、その後、私学関係者と有識者間で意見交換が行われた。第3回は2月22日に開催の予定。


第2回学校法人制度改革特別委員会

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