政府は令和４年１２月２３日、令和５年度予算案を閣議決定した。このうち文部科学省の一般会計予算の総額は５兆２９４１億円で前年度比０・２％の増額となった。その中で私学助成関係予算は総額で４０９５億円、前年度比１億円の増額にとどまった。私学助成関係予算の内訳は、私立大学等経常費補助が２９７６億円（前年度比１億円増）、私立高等学校等経常費助成費等補助が１０２９億円（同９億円増）、私立学校施設・設備の整備の推進が９０億円（同８億円減）。

　このうち私立大学等経常費補助の内訳は、経常的経費を支援する一般補助が２７７１億円（同５億円増）、わが国が取り組む課題を踏まえ、自らの特色を活かして改革に取り組む大学等を重点的に支援する特別補助が２０５億円（同４億円減）。

　特別補助には、（１）私立大学等改革総合支援事業（１１２億円、一般補助も含む）、（２）大学教育のＤＸによる質的転換事業（２億円）、（３）私立大学等における数理・データサイエンス・ＡＩ教育の充実（７億円）、（４）研究施設等運営支援および大学院等の機能高度化への支援（１１７億円）、（５）教育研究活動の拡大・展開に協働して取り組む大学等の支援（１億円）、の五つの事業がある。（２）は新規事業で、（１）従来型の学修管理システムを発展させ、学生の学修データの可視化、当該分析結果を活用した個々の学生の状況に応じた学修支援、自己評価・ピア評価・ルーブリックを基にした教員のフィードバックなどの多面的な評価を実現する取り組みと、（２）反転授業等、対面授業とオンライン学習の双方の良さを生かした学びの実践や仮想現実（ＶＲ）や拡張現実（ＡＲ）等の最先端の技術を活用した学びによる、効果的で質の高い学修を実現する取り組みを支援する。（１）（２）併せて約２０校に１校当たり１千万円程度を支援する。

　一方、私立高等学校等経常費助成費等補助の内訳は、一般補助が８６０億円、特別補助が１３７億円、特定教育方法支援事業が３２億円。特定教育方法支援事業を除いて都道府県が私立学校の経常的経費や特色ある取り組みに助成する場合、国が都道府県に助成額の一部を補助するもの。このうち特別補助の内訳は、教育改革推進特別経費が５５億円、幼稚園等特別支援教育経費が７１億円、授業料減免事業等支援特別経費が１０億円、過疎高等学校特別経費が１・５億円となっている。

　私立学校施設・設備整備推進事業の内訳は、（１）耐震化等の促進が４０億円（同４億円減）、（２）教育・研究装置等の整備が５０億円（同４億円減）。全般的に前年度比減額となっているが、令和４年１２月２日に成立した令和４年第２次補正予算では（１）（２）合わせて１０７億円の予算措置がされている。

　このうち耐震化の促進４０億円の内訳は、耐震改築（建替え）事業が２１億円、耐震補強事業が１５億円、その他耐震対策事業が４億円で、耐震改築（建替え）事業は令和６年度まで２年間延長されている。また耐震化を一層促進するため、新たに耐震診断に限った経費も支援する（３年以内に耐震化に着手すること等が条件）。耐震化の促進には令和４年度第２次補正予算で６０億円の予算が確保されている。

　このほか一般財団法人日本私学教育研究所への補助は前年度と同額の２０１８万９千円となっている。