こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2022年12月13日号二ュース >> VIEW

記事2022年12月13日 2598号 (1面) 
成長分野の高度専門人材育成に3千億円
大学改革支援・学位授与機構法一部改正法成立
支援校は300校程度の見通し
1校当たり数億から20億円、最長10年間支援

 旧統一教会問題の被害者救済法案の成立が最大の焦点となっていた臨時(第210回)国会は12月10日に終了した。文教関係では「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案」が11月29日に衆議院本会議を通過、12月2日に参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。この法案は同日成立した令和4年度第2次補正予算の関連法。


 デジタルやグリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて、意欲ある大学・高専の学部再編等の取り組みを支援するため、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(福田秀樹機構長、東京都小平市)に大学・高専の学部・学科の再編、定員変更等に要する初期投資や当面の運営経費等を支援する助成金を交付する業務を追加し、同機構に基金を設けるための法律。


 衆議院の文部科学委員会では11月29日に同法案に関して、永岡文部科学大臣から趣旨説明を聴取、同日、政府参考人に対して質疑を行い、その後、質疑を終局、採決の結果、自民、立憲、維新、公明、国民の各党が賛成、共産党が反対し、賛成多数で可決した。その際、賛成した5党の代表者から付帯決議案が提案され、賛成多数で採択された。


 衆議院文部科学委員会では地方の私立大学において学生・教員の確保が困難になることや、類似した学部が乱立すること、支援事業による経済効果が表れる時期、高校での早期の文系理系のコース分けおよびその後のコース変更の困難さが理工系学生増加の阻害要因であるとの考え等に対する文部科学大臣の見解等に関する質疑が行われた。


 また附帯決議では、助成金の交付対象となる教育研究の分野や選定方法等を定めるに当たっては、公平性・公正性が確保された基準とすること、その際、定員未充足が継続するなど経営に過度に課題がある大学等に措置されることがないよう適正な選定方法の在り方に留意することや、初等中等教育段階における自然科学に対する興味と志向の醸成に努めることなど7項目への特段の配慮を求めている。参議院文教科学委員会での附帯決議もほぼ同様の内容。


 令和4年度第2次補正予算の同事業の予算額は約3千億円。支援事業は二つの事業からなっており、(1)学部再編等による特定成長分野(デジタル・グリーン)への転換等支援は私立・公立大学が対象。検討・準備段階から完成年度までに必要な経費を支援する。


 もう一つの(2)高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援は、国公私立の大学(大学院を含む)・高専が支援対象。情報科学系学部・研究科を有する大学の体制強化に必要な経費、高専における情報系学科・コースの新設・拡充に必要な経費が支援内容。


 今後、基本指針が策定され、公募要領に基づいて大学・高専から公募、審査となるが、支援校は300校程度で1校当たり数億円から20億円程度を最長10年間支援する計画だ。また審査に当たっては高校から理系学部への進学者を増やす観点から高大接続の取り組みや学費も審査対象となりそうだ。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞