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記事2022年11月3日 2594号 (1面) 
日短協オンラインで秋季定期総会開催
文部科学省 大学設置基準等の改正
私立学校法改正法案検討状況説明

 日本私立短期大学協会(会長=関口修・郡山女子大学短期大学部理事長・学長)は10月19日、令和4年度秋季定期総会をオンラインで開催。文部科学省から大学設置基準等の改正と私立学校法改正法案の検討状況について説明が行われた他、委員会報告、中央教育審議会の審議状況報告等が行われた。


 文部科学省説明T「令和4年度大学設置基準等の改正について〜学修者本位の大学教育の実現に向けて〜」と題して、古田和之・高等教育局大学教育・入試課長が基幹教員等について次のように話した。


 基幹教員制度について、従前の専任教員の考え方も踏まえながら基幹教員の定義を明確化。必要最低教員数の算定では複数の大学・学部での算入(4分の1まで)も可能とすることなどを規定。教育課程上必要と認める授業科目は、原則として基幹教員に、主要授業科目以外の授業科目はなるべく基幹教員に担当させるとしている。基幹教員とは、教育課程の編成その他の学科の運営について責任を担う教員(助手を除く)で、当該学科の教育課程に係る主要授業科目を担当するもの(専ら当該短期大学の教育研究に従事するものに限る)又は1年につき8単位以上の当該学科の教育課程に係る授業科目を担当するものをいう。従来の専任教員と基幹教員との違いは、「一の大学に限り」という規定を見直し、複数の大学・学部でも必要最低教員数に算入可能となることだ。


 1年間の授業期間については、現行の「定期試験等の期間を含め」を削除、大学の判断による8週、10週、15週など多様な期間が設定できる。


 単位の計算方法は、従前の規定を廃止し、1単位45時間を標準とし、授業方法に応じて15〜45時間の範囲で1単位として計算できる。単位の授与は、リポート等も含めた多様な評価方法で可能であることを明確化した。


 卒業要件では、現行の「大学に4年以上在学し」を削除。校地・校舎等では、運動場・体育館等の施設は必要に応じ設ける施設とし、図書館は電子化を踏まえ閲覧室・整理室を備える規定を削除。


 教育課程等に係る特例制度については、内部質保証等の体制が十分機能していること等を要件に、教育課程等に係る特例対象規定の一部または全部によらないことができる特例制度を新設する。これは大学の創意工夫に基づく先導的な取り組みの促進と、今後の大学設置基準の改善等につながることを期待したもの。特例の要件については現在検討中などの説明であった。


 文部科学省説明U「私立学校法改正法案に関する検討状況について」は、滝波泰・高等教育局私学部私学行政課長が、条文の最終的詰めを行っているとして次のように説明した。


  学校法人のうち、知事所轄法人でも事業規模が大規模や広域である場合は、大臣所轄法人並みのガバナンスがふさわしいだろうと考えている。また、大臣所轄法人の場合の常勤監事の設置義務は、基準を事業活動収入100億円又は負債200億円以上と考えている。


  評議員による評議員会の招集請求について、大臣所轄法人の場合、要件を緩和、評議員会の開催を求める評議員数を総数の10分の1以上を予定。


 理事・監事・評議員の構成要件については、理事の要件として、(1)監事・評議員との兼職禁止、(2)設置する学校の校長を含むこと、(3)外部理事を含むこと、(4)他の2人以上の理事、1人以上の監事又は2人以上(経過措置期間中は3人以上)の評議員と特別利害関係がないこと、(5)他の理事と特別利害関係がない理事数は総数の3分の1を超えないことなど。


 監事の要件は、(6)理事・評議員・職員・子会社役員(監事・監査役等を除く)・子法人の使用者との兼職禁止、(7)他の監事又は2人以上(同3人以上)の評議員と特別利害関係がないことなど。


 評議員の要件は、(8)理事・監事との兼職禁止、(9)職員を含むこと、(10)25歳以上の卒業生((9)を除く)を含むこと、(11)他の2人以上(同3人以上)の評議員と特別利害関係がないこと、(12)職員の評議員数は総数の3分の1を超えないこと、(13)理事・監事・他の評議員のいずれかとの特別利害関係者、子法人の使用者である評議員数は6分の1(同3分の1)を超えないこと、(14)理事又は理事会が選任した評議員数は総数の2分の1を超えないことなど。経過措置期間は、大臣所轄学校法人等は施行後1年、大臣所轄以外の学校法人は施行後2年を考えているなどと滝波課長は話した。


 総会では、欠員理事の選任、研修会報告、実施中の私学助成及び管理運営に関するアンケートへの回答依頼、同協会ウェブサイト「短大クエスチョン」への記事投稿依頼等が行われた。また令和5年度定期総会について、春の総会は来年4月27日に東京で、秋の総会は10月18日に名古屋で開催予定だとした。


 中央教育審議会等の審議状況報告では、大学分科会の審議内容について麻生・同協会副会長が、短期大学の振興が後回しにされている感は否めない、早急に議論してほしいと申し出ているがなかなか前進がない。また、新しい設置基準には多くの矛盾があり、主要科目とは何を指すのか明確でないこと、短期大学はさまざまな国家資格・免許等につながる養成機関であるため、専任教員が基幹教員となるなら、他省との調整をしてもらう必要性があるなどと話した。


 高等教育の修学支援新制度の在り方検討会の検討状況については、定員充足率80%など機関要件の厳格化等が議論されており、文科省との意見交換の場で、日短協として定員充足率8割以上という要件は避けるべきなど意見を表明したと報告された。


 大学・短期大学基準協会からは、評議員・役員の選任について報告の後、認証評価等について、令和4年度は短期大学51校と大学1校が評価を受けていること、令和5年度は短期大学44校と大学6校が評価を受ける予定との報告があった。


関口会長


古田課長


滝波課長

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