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記事2022年11月3日 2594号 (1面) 
中教審義務教育の在り方WG開催
改めて学校の役割など検討
抜本的見直し求める声も

 文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会に、このほど設置された「義務教育の在り方ワーキンググループ(WG)」の第1回会議が10月17日、WEB会議方式で開かれた。同WGは学校を中心とする学びの在り方の基本的な考え方を整理するとともに、1人1台端末等の活用を含めた多様で柔軟な学びの具体的な姿を明確化することが目的だが、初会合で委員からは「現実とのギャップを直視すべきだ」「(スクラップアンドビルドではなく)ビルドアンドビルドになっている」「不登校生が20万人に迫っている。3倍は不登校予備軍がいる。ミスマッチが起きている。ゼロベースで考えるべきだ」など、わが国の義務教育への強い問題意識が相次いで述べられた。


 同会議の委員は15人。大学教授、教育委員会教育長、公立学校の校長等で構成されている。主査は奈須正裕・上智大学総合人間科学部教授。


 第1回会議の議題は、(1)子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割、(2)全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現。議論に先立って、18歳の意識の国際比較調査結果や、学校教育に対する子供たちのさまざまな意見、不登校傾向にある中学生の状況、教職員の状況、オンライン教育に関する小・中学生の保護者に対するアンケート結果などのデータが文科省から紹介された。


 同省での配信トラブルから冒頭約40分が配信されなかったが、配信開始以降、委員からは、「不登校特例校で校長をしているが、日本財団が行った不登校傾向にある子どもの実態調査(2018年12月12日)で中学校に行きたくない理由の第1位が「疲れる」とされていることに違和感を持っている。本当の理由に迫らないといけない。楽しく感じられないからだと思う」「我が国の全人的な授業は評価されているが、それが教員の多忙化につながっている。ワークシェア制について柔軟に考えていくべきだ。教科書の内容も減らさなければいけない」「多様性の保障でも個を放置してはだめ。社会を分断させてはだめ」などの意見が出された。最後に奈須主査は社会の変化の中で学校は何をすべきか、何ができるのか、リソースはあるのか、場合によっては断念せざるを得ない。難しいところに来ていると多くの人がうすうす感じている」などと初会合を締め括った。


  次回、11月21日の第2回会議では、(1)個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じた主体的・対話的で深い学びの具体化、(2)多様性と包摂性に基づく学校文化の醸成について審議する予定。12月下旬の第3回会議では(1)学びにおけるオンラインの活用、(2)学校教育になじめないでいる子供に対する学びの保障を審議する。来年2月には論点整理をする予定。

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