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記事2022年11月13日 2595号 (2面) 
中教審教師の在り方特別部会第10回小委
前回に続いて関係団体からヒアリング
全日私幼連などが意見発表

 中央教育審議会の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会基本問題小委員会(主査=加治佐哲也・兵庫教育大学長)は10月13日、第10回委員会をオンラインで開催した。


 前回(10月6日)に続き、同特別部会が10月5日付で公表した中間まとめ「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について〜『新たな教師の学びの姿』の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築〜」について、全日本私立幼稚園連合会など8団体から口頭で意見を聴取、また日本私立小学校連合会など8団体から書面で意見を聴取した。


 この日、口頭で意見を述べたのは日本教育大学協会、全国都道府県教育委員会連合会、指定都市教育委員会協議会、全日本私立幼稚園連合会、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、全国特別支援学校長会。


 また、書面で意見を述べたのは、全国市町村教育委員会連合会、中核市教育長会、全国町村教育長会、全国国公立幼稚園・こども園長会、日本私立小学校連合会、全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会、日本PTA全国協議会、全国高等学校PTA連合会。


 このうち日本教育大学協会は、基底的な問題としての教員需給問題と長期的なデータ収集・分析の必要性、国立の教員養成大学・学部が担う重要な役割、学卒院生対象の教職大学院1年制導入の慎重な対応の必要性、私学教員を含めた教師全体の資質向上策の必要性、新たな政策展開に向けた大学側の財源確保への配慮等を要望した。


 そのうち私学教員の資質向上策に関しては、「私学の任命権者にも、現職教員の資質能力向上を図る責務を課す仕組みを整備すること、または、現行の公務員法制を前提にするのであれば、私学教員を含む個人の資格である免許制度を活用した免許制度と研修制度とのバランスを持って一体的に推進する仕組みが構想される必要がある」との見解を示した。


 全日本私立幼稚園連合会は総論として、幼稚園教員免許の研修履歴管理において、私立のシステムと公立のシステムとの連携の必要性、教職志望者増加のために、中学生高校生への体験プログラム等の充実等を、また各論として校長権限の確立、自覚の高揚の必要性、教育現場の人的補強と新卒者のスキルアップのために実習の在り方の見直しなどを提案した。


  全国高等学校長協会は学校を取り巻くあらゆる課題に対応するため、教職員集団の多様化については、総論としては賛意を示しつつも、スクールカウンセラーや部活動指導員、医療的ケア看護職員、情報通信技術支援員など多様な人材の質や量を担保するための仕組みが必要で、教職課程の柔軟化を高めることが安易な免許取得と教職志望者の質の低下につながらないようにすることなどを要望した。


 こうした教育関係団体からの意見表明に対して、小委員会の委員からは、「今回の中間まとめに抜けていると思うのが教員の魅力化施策。例えば待遇改善、給特法の一部改正の記載の追加、教職に就いた人材の奨学金免除の検討・復活が大切」といった意見が聞かれた。教職に就いた人に対する奨学金の免除にはその他賛意を示す委員がいて、その奨学金免除が難しいのなら教職履修者に対して大学の学費の減免や補助に真剣に取り組むよう求める意見が聞かれた。


 一方、書面で意見表明した日本私立小学校連合会は、中間まとめで「多様な人材の教育界内外からの確保や、教師の資質・能力の向上により質の高い教職員集団を実現する」とあり、「多様な外部人材や専門スタッフ等とがチームとして力を発揮する」との記述に関して、問題は、外部招聘(しょうへい)は時として有償となり、費用支援が大切なこと、また教師が創造的で魅力ある仕事であることが再認識されるためには、教師の数を今の境遇のまま、現在の2倍ほどに増やす以外にないこと、私立学校を含めて学校教育への大きな財政出動の提言の重要性を指摘した。


教師の在り方特別部会 第10回基本問題小委員会

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