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記事2022年10月13日 2592号 (1面) 
文科省が都道府県私立学校主管部課長会議
オンデマンドで私学部等が行政説明
“私学の役割大きいが、改革の流れに適切に対応を”

 文部科学省は10月7日、「令和4年度第1回都道府県私立学校主管部課長会議」を、新型コロナウイルス感染症防止の観点からユーチューブを利用したオンデマンド配信方式で実施した。


 同会議では冒頭、茂里毅・高等教育局私学部長があいさつし、その後、同省の私学行政課、私学助成課、初等中等教育局児童生徒課、同局参事官(高等学校担当)、総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課等の課長等が、所管事項や令和5年度概算要求等について説明を行い、都道府県に協力を要請した。


 このうち茂里私学部長は、特に3点を取り上げ、まず新型コロナウイルス感染症への対応に関しては、リスクを可能な限り低減し、子供たちの学びを着実に継続させるため引き続き数々の支援策を講じていくことを説明、都道府県に協力を要請した。2番目は部活動の地域移行に関しては、少子化や教師の働き方改革により現状のままでは部活動を継続していくことが困難となっていること、対象は公立中学校となるが、まずは休日の部活動を段階的に地域に移行していくこととなっていること、私立学校についても学校の実情に応じて適切な指導体制の構築に取り組んでほしいと語り、都道府県に所轄の学校法人への周知を要請した。


 3番目は私立学校のガバナンス改革を取り上げ、わが国では私立学校の果たしている役割が非常に大きいこと、そうした私立学校が今後も持続可能な発展を遂げるためには、社会の要請に応えつつ自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革を推進することが必要だとし、5月20日公表の私立学校法改正法案骨子に基づいて、現在、条文化の作業を進めており、学校種や規模の違いを踏まえた制度設計、きめ細かな経過措置を、現場の声を踏まえながら引き続きていねいに検討を進め、速やかに国会に提出する方針を説明した。


 最後に私立学校を取り巻く環境や私立学校に求められる対応は急速に変化し、多様化・複雑化していることを指摘して、都道府県の私立学校主管部課に対して、今回の行政説明動画や資料等を視聴した上で、所轄の学校や学校法人と情報共有し、改革の流れに適切に対応いただきたいと語った。


 続いて私学部私学行政課の滝波泰課長が、(1)学校法人のガバナンス改革、(2)学校法人関係税制、(3)私立学校における労務管理、(4)公益通報者保護制度、(5)私立学校の新たな設置認可に係る都道府県の運用、(6)児童生徒等に性暴力等を行った教員に対する厳正な対応、(7)マネーロンダリング・テロ資金供与を巡る動向、(8)マイナンバーカード取得促進の8点について説明を行った。


 このうち学校法人関係税制に関しては、特定公益増進法人、税額控除対象法人の証明を受けた学校法人への個人寄付は所得控除か税額控除が可能だとし、ふるさと納税の仕組みを活用して特定の学校に寄付をすることができる取り組みを進めている自治体が増えていることなどを紹介。


 また私立学校の新たな設置認可に係る都道府県の運用に関しては、今年6月に閣議決定された規制改革実施計画で、むやみに新規参入を妨げる等の不適切な運用が行われないよう、必要に応じて改善を促すことが求められたことに触れ、私立学校の新たな設置認可において抑制的な運用を行う場合、その必要性について十分な検討を行うことが適切で、パブリックコメントの実施など適切なプロセスの確保、その必要性等について定期的な見直しを行うことなどを求めた。


 八田和嗣・私学部私学助成課長は、令和5年度私学助成関係概算要求の詳細等を説明した。


 その中では、その他として、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対して創設された「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」(予算額6千億円、交付対象は都道府県および市町村)に関して、私立学校における光熱費(高騰相当分)への支援に重点交付金を活用することは可能とされており、文科省私学助成課から各都道府県私立学校主管課に対して、関係部局等と緊密に連携し、重点交付金の活用等により、私立学校における電気・ガス料金を含む物価高騰の影響等に対する料金負担の軽減等をはじめとした取り組みを要請していることなどが報告された。


 またCLT(ひき板を繊維方向が直交するように重ねて作られた木のパネル)の活用が地方創生等に資することなどが説明された。私立学校関係補助金で活用可能。

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