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記事2021年9月3日 2554号 (1面) 
第5回教員免許更新制小委開く
教員免許更新制を発展的に解消
同時に新たに教師の学びの姿を実現へ

 中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の教員免許更新制小委員会(主査=加治佐哲也・兵庫教育大学長)は8月23日、WEB会議方式で第5回会議を開いた。


 この日は、過去4回の審議内容等を反映した「審議のまとめ(案)」が事務局(文部科学省)から提示、説明され、審議を行った結果、基本的に大きな異論はなく、了承された。今後、この日委員から出された修正の要望や、審議のまとめの最終章の「おわりに」を追記した後に、同小委員会の親会議の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会に報告される見通し。


 今回の審議まとめ案では教員免許更新制については、大学と教育委員会の連携など成果も見られたと評価しつつも、「免許状を更新しなければ職務上の地位の喪失を招きかねないという状況の下で、変化を前向きに受け止め、探求心を持ちつつ自律的に学ぶという、高度な専門職にふさわしい水準で教師の主体的な姿勢が発揮されてきたと評価することには慎重にならざるを得ない。10年に1度、特定の期間に免許状更新講習を受講することも、教師が常に最新の知識技能を学び続けていくという必要性と整合的とはいえない」と指摘。そうしたことから教員免許更新制を発展的に解消、同時に全教員に共通に求められる基本的な知識技能というレベルを超えて、新たな領域に専門性を身に付けるなど強みを伸ばすことが必要で、教師一人一人の個別最適な学びが求められているとし、令和の日本型学校教育を担う「新たな教師の学びの姿」の実現が必要としている。具体的には、研修受講履歴の記録管理、履歴を活用した受講の奨励の義務付け、教育委員会が行う研修、独立行政法人教職員支援機構が提供している「校内研修シリーズ」、大学や民間事業者等が提供するプログラムも含めて学習コンテンツの質保証の仕組み、学習コンテンツを適切に整理・提供するプラットフォームのような仕組み、学びの成果を可視化するため個別のテーマを体系的に学んだことを、全国的な観点から質が保証されたものとして証明する仕組みが必要だと指摘している。 


 また私立学校に関しては、公立学校とは制度的には異なるが、一人一人の教師が雇用者との対話や雇用者による研修の奨励などを通じて、主体的に学ぶことができる環境づくりを進めていくことが重要だとし、教職員支援機構の「校内研修シリーズ」の活用のほか、同機構が大学や私立学校の教師の研修や資質能力の向上に取り組む民間の団体などと、それぞれのノウハウを生かしつつ、共同で学習コンテンツを開発するなど、新たな取り組みを進めていくよう求めている。こうした新たな教師の学びの姿の実現と教員免許更新制の発展的解消は同時期だとしているが、時期は明記されていない。この日、同小委員会委員からも時期やロードマップの提示を求める意見、審議のまとめ案では、現場でのOJTの重要性を指摘しているが、必要な研修に加えることを提案する意見、理論と実践の往還の重要性を指摘する意見、個別最適な学びとともに、協働的な学びの必要性を指摘する意見、働き方改革の中で現場での研修が削られていることからカリキュラムオーバーロードに手を付けるべきだ、教員への応援メッセージを加えてほしいとの意見も聞かれた。

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